元ドラフト1位投手、28歳で戦力外、そして回転寿司屋へ――異色キャリアの裏にあった決断(1/3 ページ)

» 2025年10月16日 08時00分 公開
[伏見学ITmedia]

著者プロフィール

伏見学(ふしみ まなぶ)

フリーランス記者。1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。


 JR塩釜駅(宮城県塩釜市)から徒歩5分ほどの場所にある回転寿司「塩釜港」本店。

 訪れたのは平日の昼12時半を過ぎた頃で、店の入り口には20人近くの行列ができていた。この日は暑く、強烈な日差しが降り注いでいたが、客は辛抱強く並んでいる。ただし、どちらかというと、表情はにこやかだ。あと少しで寿司を口にできることへの高揚感なのかもしれない。

 店のそばをうろうろしていると、「こんにちは」と声をかけられた。振り向くと、スーツ姿の長身の男性。2012年に東北楽天ゴールデンイーグルスのドラフト1位投手として華々しくプロ入りした森雄大さんである。森さんはプロ2年目に初勝利を挙げたものの、その後はけがなどに苦しみ、2022年に28歳で現役を引退。“第二の人生”として彼が選んだのは、塩釜港での挑戦だった。

森雄大さん。塩釜港本店にて(筆者撮影、以下同)

 それから3年。朝3時起きで市場に通い、店舗運営を学び、銀座店の立ち上げに奔走した森さんは、今や会社の中核を担う存在となっている。2025年4月にグループ企業になった水産加工会社ヤママサの広報部長も兼任する。

 野球選手から寿司屋へ――異色のキャリアチェンジを果たした森さんが語る、挫折と成長、そして仕事への向き合い方とは。

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