OECDは先進国を中心とする国際機関で、38カ国が加盟している。通常、国際比較する場合は「購買力平価(PPP)換算」を行う。単に為替レートで換算するのではなく、各国の物価水準を調整した値を出すのだ。それで見ると、日本の平均年収は約463万円。一方で、OECDの平均は約681万円になる(2023年)。
日本は38カ国中、23位に位置する。ちなみに1位はルクセンブルクで約941万円、米国は4位で約850万円、ドイツは12位で約687万円、韓国は20位となっている。見ての通り、世界の先進国と比べて日本の給料は間違いなく安い。
ただ、海外が日本に求めているのは単純労働ではなく、スペシャリストやエンジニアなどの高度人材である。
給料で比べると、高度人材でも、海外との差は歴然だ。例えば、米国。給与投稿サイトのデータによると、米国のビッグテック4社などであれば、新卒レベルの年収は約15万〜18万ドル(2500万円前後)になる。また、スタートアップ企業を含めたシリコンバレー全体の平均でも、初任給の最低ラインは10万ドル(約1500万円)だ。
一方で、日本の調査では、初任給平均は大学院修士課程修了(理系含む)の場合でも、年収で約430万円程度にとどまる。大手メーカーなど多少高い企業でも500万円前後だ。日本の優秀な理工系修士卒でもそのくらいで雇えてしまうのである。米国とは比較にならない。
加えて、海外企業から見れば、日本の円安がこうしたお得感を後押しする。2021年には1ドル105円ほどだったのが、現在は1ドル150円を超えて円安になっている。ドル建ての企業から見ると、日本での人件費コストは約30〜35%低下している。つまり、日本人を3〜4割安く雇用できることになる。
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