「IT部門」を持たない中小企業が、AIで年間1368時間の業務削減を実現できたワケ(3/4 ページ)

» 2026年02月17日 07時30分 公開
[熊谷紗希ITmedia]

月間約150時間の業務削減 何に困っていた?

 AI推進プロジェクトにおける介護事業部の成果は、利用者の送迎ルートの最適化や欠席者への振替提案の自動化、高齢者向けAI相談システムの独自開発などが挙げられる。職員が利用者対応に集中できる環境を整備するという目的で課題を洗い出した。

AI相談システムと会話する利用者

 送迎ルートの最適化は早々に実装された取り組みの一つだ。介護事業部ではデイサービスを提供しており、毎日、利用者の自宅に迎えに行くための送迎ルートを考える必要があった。利用者の追加や変更があるたびに調整が発生し、デイサービスの開始時間から逆算して、事業所の出発時間やルートを決めるのに時間がかかっていた。

 土地勘のあるスタッフであれば30分程度で終わるが、慣れていない新人スタッフは先輩に確認しながら進めており、1時間ほどこの作業に費やしていた。

 この問題を解決するために、社内でAIツールを開発することに。まずAIに「利用者さまの名前を入れるだけで送迎案を組んでくれる夢のようなシステムを作りたい」と相談した。

 AIと会話を重ね、最終的に「その日の利用者の住所情報」「送迎車の台数」「送迎車の定員」「出発時間」といった条件を入力することで、AIが最適なルートを提案するシステムを作り上げた。従来はベテランスタッフの土地勘と経験に頼っていた作業だったが、AIのサポートによって誰でも短時間で組めるようになった。

 システムを組む際に苦労したこととして、担当者は「誤認識・誤作動のリスクといった面での苦労が多かったです。プロンプトが正しく機能せず、送迎対象者の住所がGoogle マップ上に正しく表示されないこともありました」と話す。

 課題として挙げられたプロンプトについては、週1回の勉強会で専門家に相談。「AIが同じ間違いを繰り返さないよう強調したプロンプトにしたり、AIに再確認させるためのプロンプトを作成したりするようアドバイスをいただきました」という。

 送迎ルートの最適化は2024年12月から取り組みはじめ、2025年1月に試験運用を開始。同年2月に現場実装するというスピード感で取り組んだ。先述した取り組みと合わせて、介護事業では月間約150時間の業務時間削減を実現している。

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