モスは、2025年3月にも大きな値上げに踏み切った。モスバーガーは440円から470円へ。「フレンチフライ(M)」や「オニオンフライ」も300円から330円に上がったのである。この調子でいけば、2026年も値上げする可能性が高い。5年間で100円値上げされたモスバーガーも、いよいよ500円の大台に突入しそうなのだ。
……という話を聞くと「いちいちうるせえなあ! 原料とか高騰しているし賃金も上げていかなきゃいけないんだから、それくらいはしょうがないだろ」とモスを擁護したくなる人もいらっしゃるだろうが、まったく同感である。
これまで本連載で繰り返し述べてきたように、日本経済低迷の理由の一つは「安すぎる外食」にある。
「安くてうまい店」が大繁盛することによって、日本では飲食店だけではなくコンビニ、スーパー、小売などあらゆるサービス産業が「安くて高品質」を過剰に求めるようになってしまった。日本近海のレアアースやら半導体産業で日本経済復活を唱える人もいるが、日本のGDPの7割は「内需」で、しかもその大半はサービス業が占めている。
このような“コスパ至上主義社会”は「低賃金労働者」の犠牲なくして成立しない。それは、外国人観光客が称賛するコンビニグルメを製造している総菜工場で、主力となって働いているのが外国人労働者だという事実からも分かっていただけるだろう。
ただ、本当に恐ろしいのは、そのような「サービス産業の低賃金労働者」が日本経済を冷え込ませる負のスパイラルをつくってきたということである。
低賃金労働者というのは「低所得消費者」でもあるので、外食でもスーパーでも「安くて高品質」を執拗(しつよう)に求めて、ちょっとでも値上げすればボロカスに文句を言う。では、そういうプレッシャーを受けた企業側がどうするかというと、最も手を付けやすい「人件費の圧縮」で対応していく。
つまり、消費者は「もっと安く! もっとお得に!」と企業側に要求して悦に入っている。それは間接的に日本のサービス産業に従事する労働者に対して「もっと安く働け! ……というか仕事があるだけでもありがたく思え!」などと、ののしっているのと同じなのだ。
こういう「労働者軽視」を長年続けた結果、特定の分野では求人をかけても人が集まらない「雇用のミスマッチ」が深刻化した。そこで日本人の代わりに「もっと安く働け!」という負担を押し付けられているのが、外国人労働者というわけだ。
そんな「安さの無間地獄」から抜け出すには、サービス産業の象徴である外食業界が、「安くてうまい」ではなく「労働者が犠牲になることなく、適正な価格でうまい」を求めていかなければいけない。客単価を上げて売り上げを伸ばし、賃上げもしているバーガーキングやモスのやっていることは、日本経済のためにはしごくまっとうなことなのだ。
しかし、中にはその当たり前のことを許してもらえない会社もある。日本のファストフード界の雄、マクドナルド(以下、マック)だ。
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