為替の逆風に加え、ニトリHDの本業を取り巻く環境も厳しい。
国内家具市場は1991年の約3兆円をピークに、現在は約1兆円規模にまで縮小している。背景にあるのは、人口減少と住宅着工戸数の長期的な低迷だ。2023年の新設住宅着工戸数は前年比11.4%減と64年ぶりの低水準を記録した。家具は引っ越し時に購入される傾向が強く、住宅市場の縮小は需要減に直結する。
この構造変化がニトリHDの既存店をむしばんでいる。2025年3月期の既存店売上高は前期比100.2%と、期初予想の103.2%を大きく下回り、月次データでは2025年7月に前年同月比11.4%減と、2ケタに迫る客離れが進行。2026年3月時点で既存店の売り上げは7カ月連続の前年割れという異常事態に陥っている。
客単価は値上げ効果で微増しているが、それが客数減を加速させるという悪循環にある。ニトリHDの競争力の源泉は「安さ」だった。しかし円安対策としての値上げは、その競争力を自ら損ねている。
縮小する国内需要を補うべく注力した、中国事業にも暗雲が立ち込めている。
2025年1月時点で106店舗あった中国大陸の店舗は、半年で84店舗に急減したことが報じられた。2026年3月期は出店が4店舗、退店が25店舗と、さらに79店舗に絞り込む計画であるという。似鳥会長も「大型店を中国で出したが、不況のため厳しい」と判断の誤りを認めている。
「衣・食・住」全てへの多角化も、追い打ちをかけている。
最大の賭けだった家具チェーンの「島忠」の買収は苦戦が続く。PB商品を大量投入する「ニトリ化」施策が合わなかったのか、島忠の店舗数は2020年8月の60店舗から52店舗に減少した。2025年5月には似鳥会長自らが島忠の会長に就任するという異例の人事に踏み切った。創業者が直接経営に乗り出さざるを得ない状況が、統合の難航ぶりを物語っている。
ステーキなどを提供するレストラン「みんなのグリル」は2024年11月に全店閉鎖。わずか3年8カ月で撤退に追い込まれた。看板メニューである500円のチキンステーキは原材料高で590円に値上げせざるを得なくなるなど、外食産業の厳しい環境に苦しんでいた。
アパレルの「N+」は約40店舗にまで拡大し、黒字化の目安とされる50店舗が射程圏内に入っている。ただ、ユニクロ・GU・しまむらなどがひしめくバリュー衣料市場で、家具小売発のブランドがどこまで戦えるかは未知数だ。
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