結局のところ、なぜ「だし」が注目され、活用範囲が広がっているのか。野口氏は「“おいしさ”と“健康”の2つの側面があるのではないか」と考えを示した。
「『だし』という言葉には、すごく“シズル感”がありますよね。近年は、ポテトチップスやおにぎりなど、『〇〇だし味』といったネーミングの商品が非常に増えたなと。『だし』をうたうことが訴求になるのだなと感じています。あとは、白湯代わりやファスティング(断食)後の回復食としてだし汁を飲むなど、健康志向の人たちが、だしを好むようになった印象もあります」(野口氏)
自社においては、ライフスタイルや年代が変わっても、だしをおいしく食べられるようバリエーションを増やしていく方針だ。最近の事例では、子どもを持つ社員の声から生まれた「赤ちゃんのためのだし」(和風・洋風、各594円)を2025年2月に発売。反響は上々で、「孫へのプレゼント」としても多く選ばれているという。
一方、A DROP OF ZEN ヒトテキノ膳の上田氏は、外国人からの注目が高まっている理由として、「日本料理の原点には、だしがあるという理解が深まっているためではないか」と見解を示した。
「これまではアウトプットとしての日本料理が注目されていましたが、原点の『だし』も『うまみ』として広く知られるようになっています。さらに、だしがさまざまにアレンジされ、王道ではない新しい使い方が増えるほど、より注目度が上がるのではと考えています」(上田氏)
同社では、だしペチーノのラインアップを増やしつつ、都内など新たな地域への出店も検討しているという。新規性のあるメニューであり、プロモーションの難しさがあるが、「小腹が空いたタイミングや軽めのランチ代わりとして、目的来店を促せるよう情報を届けていきたい」と中川氏は話した。
最近では、多くの自販機でだし汁を販売したり、だし汁を使ったカクテルを提供するバーが登場したりしている。定着という意味では課題があるかもしれないが、だし文化は着実に進化を遂げているようだ。
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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