Paykeの事業はBtoCにとどまらない。ユーザーがサービスを利用するたびに「どの国の人が、どこで、何に興味を持ったか」というデータが蓄積される。加えて、性別や年齢層といった属性も把握できる。同社はこれを「興味指数データ」として分析し、メーカーや小売企業に提供している。
古田氏は、これらの情報が持つ価値について「異なるメーカーの類似商品でも、韓国人に人気のもの、中国人に支持されるものといった傾向が分かります。商品接触データは訪れたエリアも含めて可視化できるため、企業や行政からの需要は創業当初から想定していました」と話す。
これまで、訪日客の詳細な消費行動は把握が難しい領域だった。古田氏は「まだ事業の意思決定レベルまで活用されている事例は少ないです」と課題感を口にするが、Paykeが保有するデータは、インバウンド事業における商品開発やマーケティング、営業など幅広いビジネス活動を活性化させる可能性を秘める。観光庁の調査にも活用されており、その価値は広く認知されつつある。
同社の収益源は、アプリへの広告出稿やデータ販売が中心だ。ユーザー数の増加が直接売り上げに結び付くモデルではないが、利用拡大に伴い広告とデータの価値は高まり、事業基盤の強化が着実に進んでいるという。
コロナ禍の収束でインバウンド市場が再び拡大局面に入る中、古田氏は現在を「第2創業期」に位置付ける。4月には、商品比較や店舗選定などを個々のし好に合わせて提案する「買い物コンシェルジュAI」のサービスを新たに開始した。
今後は、ビジネスモデルを韓国と台湾に横展開するめども立っているという。古田氏は「AIは越境ショッピングとの相性が良く、商品データの作成や翻訳などの作業時間は10分の1程度に短縮できました。AIを活用すれば、3年ほどでアジア全体にサービスを広げることもできると思っています」と意欲的な見通しを示す。
バーコードを基軸に訪日客の「知らない」を解消し、データで消費の流れを可視化する。目指すのはメーカー、小売、消費者が「Win-Win-Win」となる世界だ。そのかじ取りを担う古田氏は、まだ32歳。拡大するインバウンド市場の中で、Paykeの存在感はさらに増していきそうだ。
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