購入者はどういった層が多いのか。国際線ターミナルに直結する商業施設内ということもあり、グローバル比率が3〜4割を占める。台湾、香港、米国を中心に、オーストラリアやカナダなどの観光客による購入も目立つ。年齢層は30〜40代が中心で、男女比に大きな差は見られない。海外出張や国内旅行客が多いが、全体の1〜2割はファミリー客が占めているという。
購入目的としては「土産需要」と「文具自販機そのものを楽しみたい」という2点がある。
「羽田空港という立地の特性から、お土産として購入されるケースも多いです。紙袋に入った状態で商品が出てくるため、そのままお土産として渡せます。また、IoT自販機そのものを楽しんで購入されるケースもみられます。単なる自販機ではなく、文具が出てくるまでに流れる音楽や動画、シークレットセットのワクワク感を通して、ここにしかない体験を目的に購入されています」
特に、海外旅行客にとっては、自販機そのものが日本らしいユニークな存在であり、その中でこだわりが詰まった文具を購入できる体験は「お土産として面白い」と受け止められているという。実際、アジア圏を中心にYouTubeやSNSなどで情報が拡散されており、そうした発信を通じて関心が高まっているとのことだ。
2023年1月の設置からデータの収集を開始し、ラインアップの拡充も行っている。当初、シークレットセットは大人向けのラインアップだったが、子連れ利用客が多かったことから、2023年7月にキッズ向けのシークレットセットを追加。売れ行きも好調だという。現在までの全商品の販売個数は5943個(2021年1月31日〜2026年3月31日)で、1日当たり約5個購入されている計算だ。
今後の展開については「現在は店舗内の設置だけですが、IoT自販機を単体でどこかに設置する無人販売も視野に入れつつ、検証を続けていきます」という。
こうした動きは、文具を取り巻く市場環境とも無関係ではない。経済産業省の統計でも、筆記具を中心とした文具の輸出は堅調に推移しており、日本製文具の品質やデザインへの評価は海外で高まっている。加えて、訪日観光客数も回復・拡大を続けており、日本ならではの買い物体験への関心も強い。
コクヨのIoT自販機は、そうした潮流を背景に、「商品」と「体験」を掛け合わせることで文具の新たな価値を提示する試みといえる。偶然の出合いやエンターテインメント性を備えた購買体験は、文具の楽しみ方をどこまで広げるのか。
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