世界的な物価高でエンタメに落とすお金の余裕がなくなりつつある中、顧客の需要を喚起するには何が必要なのか。
「厳しい状況下でも、顧客がKCONのチケットを買ったときにベネフィットを感じられるように設計することが重要です。コンテンツを通じて世界を明るくして、顧客も満足感を高めることは、エンタメ業界の義務だと考えます」
今回からミニシアターを設置した「K-STORY ZONE」を新設し、AI制作による映画のプレビューや体験空間の導入など、テクノロジーを活用した新たなコンテンツ創出の試みも実施した。
パク事業部長が語った「エンタメは世界を明るくする義務がある」という言葉は、印象的だ。インフレが進む「生活防衛局面」においても、チケット代以上の満足感やストレス解消という「情緒価値」を提供し続けることで、ファン獲得につながる。
KCONが示すのは、文化の輸出が経済的な熱狂を生み、それが社会を照らす光になるというエンタメビジネスの社会的役割だ。
パク事業部長は、究極の目標は「韓国の文化を世界に広めること」だと考えている。
「2015年にさいたまスーパーアリーナで初開催したときの来場者は、1万5000人ほどでした。美容、ファッション、ドラマなどK-Cultureを拡大させることは重要だと考え、KCONを通じて、なるべく多くの体験を提供するようにしました。その結果K-POPのファンが、韓国のライフスタイル全体に興味を持つことにつながりました。これはKCONが成長できた要因だと考えています」
CJ ENMはKCONを通じて、K-POPという「点」の熱狂を、食・美・住というライフスタイル全般の「面」へと広げ続けてきた。チケット収益を得たり、顧客データを取得したりする短期的な成果以上に、未来を見据えた「市場作り」をしてきた視点は重要だ。
今、会場で熱狂しているZ世代が経済の中枢を担う将来、彼らにとって韓国文化は「特別な流行」ではなく「日常」になっているのかもしれない。
顧客の生活に入り込み、深くコミットすることで、LTVは最大化する。KCONが示す「文化のインフラ化」は、ブランドを訴求したい企業にとって指針となるはずだ。
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