「本が読めない」時代に広がる“聴く読書” 350万人が利用する背景サブスクの勝算と限界(4/5 ページ)

» 2026年06月08日 08時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

「ながら読書」が新たな習慣に

 利用シーンも多様化している。かつてビジネスパーソンの利用が中心だったときは、通勤中の利用が大半を占めたが、利用者の幅が広がるにつれ、家事をしながら、散歩をしながら、あるいは寝る前に聴く、といった形も増えてきた。

オーディオブック利用者が読書をする場面は「電車・バスなど(移動中)」「自宅」が6〜7割と多いほか「公園など屋外」も2割を占める
読書する時間

 さらに特徴的なのは、シニア層の場合、自宅でテレビの代わりにオーディオブックを流しているケースも見られる。年齢が上がるほど、再生時間が長くなる傾向があるという。

 近年は動画配信サービスやSNSが生活に浸透し、常に画面を見続けることに疲れを感じる人は、きっとシニア層に限らないだろう。

 耳は他の作業と並行して使える。また、目で情報を追うことによる疲れも生じにくい。こうした要素が、オーディオブック市場の成長を支えているようだ。

 もっとも、オーディオブック自体は新しいサービスではない。

 オトバンクは20年以上前から事業を続けている。それでも近年になって利用が急速に広がった背景には、技術環境の変化があるという。

 通信回線の高速化、スマートフォンの普及、ワイヤレスイヤフォンの浸透。かつては大容量の音声データを持ち歩くこと自体が難しかった。

 しかし今では多くの人がスマホとイヤフォンを持ち歩き、移動中にコンテンツを楽しむことが当たり前になった。こうした環境変化が2018年からのサブスク配信につながり、利用者拡大の追い風となった。

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