年商25億円の茨城の喫茶チェーン「サザコーヒー」に学ぶ、地域密着型の差別化戦略(2/5 ページ)

» 2026年06月11日 07時30分 公開
[高井尚之ITmedia]

「人気飲食店が持つ3要素」を大事に

 店のこだわりについて、鈴木氏は「基本を大切にしてきた」とも話す。

 「人気の飲食店には、(1)良い材料、(2)優れた調理技術、(3)お客さんを楽しませるホスピタリティがあります。当社もそれを目指してきました。ケーキは、茨城県産の素材を生産農家から直接仕入れて、本店近くの工房で開発しています。地元の果物をふんだんに使用するため、ケーキの原価率も高いです」

 取材日にも、さまざまなケーキが陳列ケースにあった。「サザのりんごタルト」のりんご、「モンブランタルト」の栗、「メロンショートケーキ」のメロン、「カステラショートケーキ」のいちご(各800円=取材時)はいずれも県内産だ。

「サザのりんごタルト」「モンブランタルト」「カステラショートケーキ」(画像:筆者撮影)

 「茨城県は、知る人ぞ知る農産物の宝庫です。鉾田(ほこた)市は日本一のメロン産地で、いちごの生産も盛んです。笠間市の栗も日本一の産地。りんごは大子町(だいごまち)が知られており、“茨城のコーヒー屋”として積極的に使ってきました」

 接客にもこだわりがある。近年はカジュアルな服装で接客するカフェも増えているが、本店のスタッフはシャツやエプロンを着用し、落ち着いた雰囲気で来店客を迎える。この接客スタイルは前社長の美知子氏が重視してきたものだ。本店は年配客が中心だが、家族連れや親子の来店も多いため、幅広い世代が心地よく過ごせる接客を重視しているという。

本店スタッフはこの制服で接客を行う(画像:筆者撮影)

 本店には平日、土日を問わず多くの客が訪れる。しかし、実は茨城県は全国的に見て喫茶店利用が盛んな地域ではない。

 2026年2月に発表された「2025年喫茶代支出額」(総務省家計調査、2人以上の世帯)の都道府県庁所在地ランキングでは、1位「名古屋市」(1万6431円)、2位「東京都区部」(1万6270円)、3位「岐阜市」(1万4633円)に対して、「水戸市」(ひたちなか市の隣に位置する)は「8864円」(26位)だった。全国平均(1万261円)よりも1400円ほど低い。

 そんな土地柄で顧客を増やし、半世紀以上も人気店として営業してきたのが興味深い。

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