店のこだわりについて、鈴木氏は「基本を大切にしてきた」とも話す。
「人気の飲食店には、(1)良い材料、(2)優れた調理技術、(3)お客さんを楽しませるホスピタリティがあります。当社もそれを目指してきました。ケーキは、茨城県産の素材を生産農家から直接仕入れて、本店近くの工房で開発しています。地元の果物をふんだんに使用するため、ケーキの原価率も高いです」
取材日にも、さまざまなケーキが陳列ケースにあった。「サザのりんごタルト」のりんご、「モンブランタルト」の栗、「メロンショートケーキ」のメロン、「カステラショートケーキ」のいちご(各800円=取材時)はいずれも県内産だ。
「茨城県は、知る人ぞ知る農産物の宝庫です。鉾田(ほこた)市は日本一のメロン産地で、いちごの生産も盛んです。笠間市の栗も日本一の産地。りんごは大子町(だいごまち)が知られており、“茨城のコーヒー屋”として積極的に使ってきました」
接客にもこだわりがある。近年はカジュアルな服装で接客するカフェも増えているが、本店のスタッフはシャツやエプロンを着用し、落ち着いた雰囲気で来店客を迎える。この接客スタイルは前社長の美知子氏が重視してきたものだ。本店は年配客が中心だが、家族連れや親子の来店も多いため、幅広い世代が心地よく過ごせる接客を重視しているという。
本店には平日、土日を問わず多くの客が訪れる。しかし、実は茨城県は全国的に見て喫茶店利用が盛んな地域ではない。
2026年2月に発表された「2025年喫茶代支出額」(総務省家計調査、2人以上の世帯)の都道府県庁所在地ランキングでは、1位「名古屋市」(1万6431円)、2位「東京都区部」(1万6270円)、3位「岐阜市」(1万4633円)に対して、「水戸市」(ひたちなか市の隣に位置する)は「8864円」(26位)だった。全国平均(1万261円)よりも1400円ほど低い。
そんな土地柄で顧客を増やし、半世紀以上も人気店として営業してきたのが興味深い。
「マグロより高いコーヒー豆」を落札し続けた、茨城の喫茶チェーン 倒産相次ぐ中で、年商25億円
なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”
中小企業は「消去法」で50代を採用する 早期退職の前に知るべき現実
倒産寸前なのに年収100万円アップ 売上38億円のV字回復を実現した、山梨のプリント企業の「決断と狙い」
病院内のカフェ、なぜ「タリーズ」が多い? 100店舗展開を支える運営戦略Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング