――アジア市場に進出する上で感じる、日本との違いは?
ロッテ・野津氏 例えばチョコパイは、日本版と海外版で中身が異なります。日本ではクリームですが、インドネシアやベトナムではマシュマロに変えています。
伝統小売に当たる小規模商店で売るため、気温が35〜40度でも溶けずに耐えられるようなチョコの配合にするなど、日本とは製品を大きく変えています。
私たちはこれを「グローカライズ」と呼んでいます。日本で生まれた商品をベースにしながら、現地市場に合わせて調整する考え方です。
将来的には現地発の商品をグローバル展開したいという思いもありますが、現時点では挑戦の途中です。
ダイキン工業・片山氏 工業製品も同じです。「性能の良い製品を持っていけば売れる」と考えがちですが、そう単純ではありません。
例えばインドでは、停電が頻繁に発生します。停電と復旧を繰り返すことでエアコンに負荷がかかり、故障につながりやすいと受け止められる。
そこで、インド市場向けに停電への耐性を強化した製品を開発しました。重要なのは、日本で評価された価値を押し付けるのではなく、現地の人々の生活や事情に合わせて製品を開発することです。
KADOKAWA・石原氏 コンテンツ業界の場合、作品そのものを大きく変えることはできません。作家や作品の世界観を尊重する必要があるためです。
ただし、市場ごとに受け入れられる作品は異なります。私たちは「どの作品を届けるか」というタイトル選定を重視しています。
例えばBL(ボーイズラブ)のジャンルでも、北米、中国、東南アジアそれぞれで支持される作品の傾向が異なります。その判断を東京本社でコントロールするとずれてしまうので、現地の担当者に委ねています。
――現地市場を理解する上で、最も重要なことは?
ロッテ・野津氏 商品デザインについて、日本では問題ない表現が海外では別の意味を持つことがあります。
コアラのマーチの「ブラック&ホワイト」という商品を発売したのですが、米国に持っていくと「人種差別的な要素が出るのではないか」という声が社内で上がりました。
このように現地スタッフから「そのデザインは誤解を招く可能性がある」と指摘されることも少なくありません。現地と議論しながら調整しています。
ダイキン工業・片山氏 私たちはよく「(魚の)切り身」という表現を使います。日本の本社は、素材や成功事例を提供する。しかし、その素材をどう料理するかは現地に任せるという考え方です。
各国で文化も価値観も違います。日本で成功した施策をそのまま展開しても、うまくいくとは限りません。だからこそ、最終的な判断は現地に委ねる必要があります。
KADOKAWA・石原氏 現地法人を増やしてきた理由もそこにあります。東京から見える市場と、現地で感じる市場は全く違います。
私たちは作品の素材やガイドラインを提供し、プロモーションのやり方やファンとのコミュニケーションは現地チームに任せています。市場を理解しているのは現地の人たちだからです。
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