「アジア経済の2026年の出だしは底堅く(中略)引き続き、世界経済の成長をけん引する」――国際通貨基金(IMF)は4月の「アジア太平洋地域経済見通し」でこう予測した。アジア市場は、中国に約14.1億人、インドに約14.7億人、ASEANに約7億人を抱える巨大経済圏に成長した。
日本企業にとって、成長著しいアジア市場は大きな商機に映るだろう。一方で、国ごとに異なる文化や価値観、消費者動向への対応は容易ではない。日本で成功した商品やマーケティング手法が、そのまま通用するとは限らないためだ。
そんなアジア市場に進出しているのが、大手菓子メーカーのロッテ、空調大手のダイキン工業、出版大手のKADOKAWAだ。3社は現地市場にどう向き合い、ブランドや事業を拡大させているのか。
ビジネスカンファレンス「Asia Insight 2026」(6月1日開催)のセッション「アジア市場で挑戦する日本企業のリアル」から、各社の取り組みを紹介する。
――アジア市場で事業を展開する上で、どのような課題に向き合っていますか?
ロッテ・野津氏 ロッテはタイ、ベトナム、インドネシア、台湾などで菓子事業を展開しています。「キシリトールガム」「コアラのマーチ」「チョコパイ」など、日本でもなじみのある商品を現地で生産・販売しています。
東南アジア市場はひとくくりにできません。特に流通構造が各国によって異なります。例えば、台湾やタイでは、スーパーやコンビニなどの「近代小売」(モダントレード:MT)の比率が60〜80%と大きくなっています。
一方で、インドネシアやベトナムでは、小規模商店を中心とした「伝統小売」(トラディショナルトレード:TT)が70〜80%を占めています。ロッテは、バイクに商品を積んで店舗を一軒一軒回り、販売・集金する直販体制も構築しています。
同じ東南アジアでも国によって流通構造が大きく異なるため、それぞれに合わせたビジネスを展開しています。
ダイキン工業・片山氏 当社はエアコンの製造・販売を手掛けており、売上高が5兆円規模の会社です。海外売上比率が83%なので、ビジネスの大半を海外で展開しているといえます。
世界的な気温上昇に伴ってエアコン需要が拡大していますが、消費電力や温暖化への影響も同時に大きくなっています。
私たちは、エアコン内部で温度調整をする「冷媒」というガスを、環境負荷の低い「R32」に置き換え、その普及を進めています。単に製品を販売するだけでなく、技術を開放したり、各国政府と協力してルールづくりに取り組んだりすることも重要な仕事になっています。
KADOKAWA・石原氏 KADOKAWAは出版、アニメ、ゲームなどを展開しており、新しい作品やIP(知的財産)を年間約6000点送り出しています。現在は海外売上比率が約20%まで伸びており、約50%まで拡大したいと考えています。
現地法人を積極的に設立していて、出版だけでなく、イベント、グッズ販売、映像配給なども含めた「360度展開」の実現を各地域で目指しています。日本のコンテンツを世界に届けるには、現地の市場やファンを深く理解する拠点が不可欠です。
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