――日々の仕事の中で「もっと視野を広げなければ」「社会の仕組みを知らなければ」と悩むビジネスパーソンも多いと思います。高山さんは普段、どうやってそういったスキルを身に付けているのでしょうか。
俺は食事のことを「ビジネス研修」と呼んでいます。例えば、コンビニで「すき焼きのおにぎり」が新発売された時、どう思いました?
――「おいしそうだな」「少しぜいたくなおにぎりが出たな」と思いました。
普通はそうですよね。俺はおにぎりが好きだからよく買います。「何を食べようかな」と毎日棚を見ているうちに「こういう新商品が出たんだ」と気付きます。
その時に考えたのは、すき焼きはもともと「ハレの日の食べ物だった」ということ。給料日や何か特別な日に家族みんなで囲んで食べる料理だったじゃないですか。それが時代と共に核家族化が進んで、今まで7人で食べていたものが3人になり、2人になり……と、すき焼きを取り巻く環境がどんどんミニマムになってきた。
牛丼チェーンも「1人用のすき焼き」を出したんです。あの時に、すき焼きは完全に個人のものになったんですよね。誰かと一緒じゃないと食べられなかったぜいたく品が、1人でも食べられるようになった。さらに色んな店が追随して、俺たちは、どこでもすき焼きを24時間食べられるようになった。
そして、ついにコンビニのおにぎりになったんです。ここまで来たかと。
――ハレの日のごちそうが、片手で手軽に消費されるおにぎりの具材になってしまたんですね。
「日本は貧乏になった、人と会わなくなったんだ」と思いました。正解はないですが、目の前の食事から、勝手に自分で考察するんです。これって決して無駄な勉強ではないと思います。こうして、今取材でも話せてるし。
――単なる新商品として消費するのではなく「なぜこれが今売られているのか?」と背景を深掘りする。その日常の習慣こそが、社会を見る目を養う勉強になるのですね。
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