なぜ、コンビニやサイゼに行くことが「ビジネス研修」なのか 仕事が面白くなる“観察力”の鍛え方おくりバント高山氏インタビュー3(4/4 ページ)

» 2026年06月17日 05時30分 公開
[米倉志保ITmedia]
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「サイゼデートはありか、なしか?」論争から考える

――ここBaRプードルには、「秋のグルメフェア」「クリアランスセール」「クリスマスセール」といったユニークな札が付いたお酒が並んでいます。これは一体……?

BaRプードルに並ぶお酒

 なんだよそれって感じですよね。フェアの札は、ロイヤルホストのまねです(笑)。ファミレスってよく「イタリアンフェア」とか「カレーフェア」とかやるじゃないですか。

 「うちの商売(バー)だったら何に生かせるかな」と観察するんです。どうせ行くなら、ただ食べるんじゃなくてメニューやポップをちゃんと見るようにしています。

 例えば「サイゼリヤデートは、ありかなしか」って話よくあるじゃないですか。どう思います?

――サイゼリヤ自体は好きですが、正直、初デートで行くのはちょっと微妙かなと思います……。もう少しおしゃれなお店の方が『私のことを大切にしてくれそうだな』と感じるので。

 なるほどね。確かにサイゼリヤは「安い」というイメージもありますよね。

 そもそも、デートは「俺はこんなに良い人間で、あなたのことも大切にできる」という魅力を、時間をかけて相手にプレゼンしていく場じゃないですか。

 サイゼリヤデートをするとして、俺がメニューや、調味料を使ったオリジナルの味変、この料理にはこのワインが合うといった知識を「異常なレベル」で知っていたらどうします?

――それならむしろ、楽しそうです! 面白い人だなと思います。

 だったら、サイゼリヤデートも成り立ちますよね。「俺はここまで物事を深く調べ上げて、こだわりを持てる人間なんだ」「お金が無くてもこれだけ楽しめる人間なんだ」と、自分をプレゼンするわけ。だから、サイゼリヤが好きなら「どうしたら完璧で究極のサイゼデートができるか」を徹底的に研究してみると面白いですよ。

サイゼリヤのメニュー(出所:サイゼリヤ公式Webサイト)

 さらに言えば「サイゼリヤのメニューを自分の仕事に生かせないか」というのも考えます。

 もし俺が保険会社の営業マンだったら、サイゼリヤのメニューの表紙にある「イタリアの大ファミリーが食卓を囲んでいる絵」を利用します。「今はサイゼリヤですけど、僕が提案する保険で人生設計を成功させて、将来本当に家族でイタリアに行けるかもしれませんよ!」って、お客さまと話せるかもしれないですよね。

――ロイヤルホストのフェアも、サイゼリヤのメニューも、全て「自分の仕事ならどう当てはめるか」という視点で見ているのですね。

 1つ自分なりの見方ができるようになれば、あとは全部横展開できますからね。

 自分が興味を持てるものなら何でもいいんです。コンビニのアイスでもいい、松屋の牛めしでもいい。自分の好きなものを、色んな角度から凝視してみること。

 ただ「おいしい」だけで終わらせず、「客層は誰なのか」「なぜこのパッケージデザインなのか」と疑問を持つ。何でもいいから、自分だけの「研究対象」を作るんです。

――特別な勉強をしなくても、日々のコンビニやファミレスでの食事が全て「ビジネス研修」の場になるのですね。ただ消費するのではなく、自分だけの角度で面白がって観察する。その積み重ねで、日々の仕事がより面白くなっていくのだなと思いました。

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