では、日本で広がるとすればどんな形か。米国は労働市場の冷え込みが起点だったが、関根氏は日本では3つの構造的要因が背景になるとみる。1つ目は、解雇規制や長期雇用を前提とした雇用慣行だ。企業は人を手放しにくく、個人も長く働くことを前提としているため、もともと労働移動が起きにくい。
2つ目は市場構造で、日本には米国のGAFAMのような巨大テック企業がない。特定産業の過熱と調整が市場全体に波及する米国と違い、労働市場の流動化は徐々に鈍化する形になりやすいという。
3つ目は意識面だ。日本では市場評価よりも、社内での処遇や人間関係を重視する傾向が強く、自由回答にも「もともと日本人は転職に消極的」という声が寄せられた。
なお、到来予測は業種によっても差が出た。最も高かったのは「金融・保険・コンサルティング」で96.5%だった。
ビッグステイが広がれば、引きとめや学び直しの支援で人材をつなぎとめ、育てる投資の重みが増す。調査でも、リスキリングを含む教育費に投資した企業は83.5%に上った。
しかし、働く個人にとっては、とどまることで必ず処遇が上がるとは限らない。「大切なのは、転職するかとどまるかという選択よりも、どちらでも選べる状態を自分で作っておくことだ」と関根氏は語る。
ネット上では「日本はもともとビッグステイではないか」という声もあるが、日本では独自の形で広がる可能性もある。転職したほうが得な人もいれば、とどまったほうが得な人もいる。どちらが正解とも言えない中で、自らの選択肢をどう持つかが問われている。
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