講演セッションでは、HSJが描く世界観をデモンストレーションで示した。主人公は東京都在住で、アウトドアレジャーが趣味の長谷川さん。ホンダ車「VEZEL」(ヴェゼル)に乗り、結婚を機に乗り換えを検討するが、忙しくて検討の時間が取れていない、という設定だ。
通勤中、My Hondaからキャンプに関する新着コンテンツが届く。週末にはAIカーライフアドバイザーが新型SUVの「ZR-V」を提案。運転支援機能「Honda SENSING」で長距離運転が楽になると伝えた。長谷川さんが「なぜ疲れにくいのか?」と尋ねると、AIカーライフアドバイザーは画像やオーナーの声を交えて回答した。長谷川さんは、そのままセルフ見積もりと試乗予約まで会話の中で完了させた。
一方、販売店側では、長谷川さんの担当を引き継いだばかりのスタッフが、接客内容について営業支援AI(Agentforce)に相談すると、Web行動履歴やAIとの会話履歴を踏まえて顧客の現状とニーズを整理してくれる。アイスブレークからクロージングまでの商談ストーリーや、見積もりシミュレーション資料まで提示。引き継ぎ直後でも、質の高い商談の準備が整う。
長谷川さんは、購入を決めた。そして納車から半年後に舞台が移り「車両点検の予約変更を音声で受け付ける」「顧客の予定を踏まえて収納トレイの追加購入を提案する」といった場面も示された。購入前から購入後まで、一貫した体験を描き出すデモンストレーションだった。
HSJが開発したAIエージェントシステムは、すでに全国展開が始まっている。武藤氏によると、AIカーライフアドバイザーと営業支援AIのいずれにもポジティブな声が寄せられているという。顧客からは「気軽に相談できる」という評価が、販売店からは「顧客の興味・関心を事前に把握できる」という声が上がり、成約に至ったケースも出てきた。
今後は段階的に機能を強化する。新旧モデルの世代比較や、チャット上での試乗・入庫予約、販売店スタッフ向けの商談サポート強化を進め、将来は音声対応や車の故障時の遠隔診断まで見据える。
武藤氏は「AIエージェントが有望だという仮説は、初期反応を踏まえて確信に変わりつつある」と述べ、リアルとデジタルの融合による購買体験の引き上げを目指すとした。森本氏は、次のように述べて講演セッションを結んだ。
「AIエージェントは、今は『あると便利』だが、今後は『ないと困る』必須のインフラになる。お客さまへの価値提供のスピードを落とさず、さらに加速させたい」
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