ニチバンと聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは「セロテープ」かもしれない。しかし、富田氏は「もともとニチバンは、ばんそうこうからスタートした会社なんです」と話す。
現在のニチバンは、ばんそうこうや医療用テープなどを扱うメディカル事業と、文具・工業・農業・建築向けテープを扱うテープ事業を展開している。メディカル事業の中でも、ケアリーヴは同社が成長領域と位置付ける最重点ブランドの一つだ。
もともと同社には「オーキューバン」などの救急ばんそうこうがあった。一方、1997年に発売したケアリーヴは、肌への負担の少なさやフィット感を重視した新しいブランドとして位置付けられた。
当時のばんそうこうは塩化ビニール素材を使った商品が主流で、各社の商品に大きな違いは少なく、価格競争に陥りやすかった。
そうした中でケアリーヴが採用したのが、高密度ウレタン不織布だ。高い通気性と伸縮性を備え、指や関節にもフィットしやすい。貼った部分が白くふやけにくく、はがす際の肌への負担も抑えることを目指した。
さらに特徴的なのが、基材と粘着剤を組み合わせた設計思想だ。
一般的には、ばんそうこうがはがれにくくするためには粘着力を強くすればよいと考えられがちだ。しかし、粘着剤を強くしすぎると、はがす際に肌への負担が大きくなったり、のりが肌に残ったりする。
富田氏は「ケアリーヴののりは、それほど強いわけではありません」と話す。それでもはがれにくいのは、高密度ウレタン不織布が肌の動きに沿って伸縮し、しっかりフィットするためだ。通気性も高く、汗による蒸れやふやけを抑えられる。その結果、強い粘着力に頼らなくても、密着性を確保できるという。
「のりが強くないのによく付く。そのバランスもケアリーヴの特徴の一つです」と富田氏は説明する。
こうした考え方の背景には、同社が長年培ってきたテープ技術がある。単に粘着力を高めるのではなく、基材の伸縮性や通気性、肌への負担、はがすときの感覚まで含めて設計している。そこに粘着テープ総合メーカーとしての知見が生かされている。
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