では、企業はシニアの副業をどう後押しすればいいのか。
最も効果的なのは、人事評価上で明確にプラスの評価をすると打ち出すことだ。評価制度は、従業員の行動を驚くほど忠実に方向づける。「副業プログラムに参加することはプラスに評価される」と明確に示せば、前向きにトライするシニアは増えるだろう。逆に、何も打ち出さなければ「これはトラップだ」「裏でマイナス評価をされるのでは」と疑われるかもしれない。
次に有効なのが、具体的な事例を見せることだ。「同じ会社のあの部署のあの人が、こういう副業でこんな風に活躍している」と具体的に示せれば、「あの人にできるなら自分にもできるかも」と自信を持てる人もいるかもしれない。制度説明よりも、身近なロールモデルの方がはるかに説得力を持つ。
もう一つ、筆者がシニア採用の現場を見ている中で有効だと感じているのが「単独で案件に向き合うのではなく、複数人でチームを組んで一つの副業案件に当たる方法」だ。1人では自信が持てなくても、3人で相談しながらであれば動ける人は多い。大企業の社員は長年、減点主義の評価の中で失敗を極端に恐れるよう刷り込まれている。新しい挑戦で失敗することを「恥」と捉えてしまう人も少なくない。だからこそ、1人で背負わせず、チームで挑ませる設計が効いてくる。
シニアの副業推進は、人材の流動性を高めたい企業にとって理にかなっている手段だといえる。シニアが「自分は社外でも通用する」という自信を持てれば、早期退職プログラムを発動しなくても自然と退職者は増えていくだろう。
「会社で定年まで抱え込む」でも「副業を黙認する」でもなく、副業制度を整え、シニアに社外との接点を持たせ、リスクを管理する。それが、これからの時代に企業がとるべきシニアの副業制度のかたちではないだろうか。会社が「もう一緒に歩めない」とシニアに告げるのであれば、外に新たな道を探す機会も与えるべきだ。それが、長年会社を支えてきた社員へのせめてもの誠意ではないか。
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