まず連結の数字を時系列で振り返りたい。
公文の連結売上高は2021年3月期の724億円から2025年3月期の940億円へと約3割増えた。だが営業利益はこの間に37.8億円から165.8億円へと約4.4倍に膨らみ、営業利益率は5.2%から17.6%へ跳ね上がっている。コロナ禍の休講で最終赤字(50億円の純損失)に沈んだ2021年3月期を底に、利益が売上高の何倍ものスピードで回復した形だ。
注目すべきは、この数年で従業員数がむしろ4091人から3626人へと減っている点である。
人を増やすどころか減らしながら、売上高を大きく超えるスピードで利益を伸ばす。この「売り上げの伸び以上に利益が膨らむ」構造こそ、公文のビジネスモデルの本質を映している。
公文の高収益なビジネスモデルを理解するためにはまず、同社が「自前で教室を運営する会社ではない」ということを押さえておきたい。
全国の公文式教室の多くは、本部と契約した個人の「指導者(先生)」が、フランチャイズに近い形で運営している。国内には約1万5400の教室があり、生徒数は約134万人。だが、その教室の家賃も、現場のスタッフの人件費も、水道光熱費も、原則としてフランチャイズに加入した側が負担する。本部である公文教育研究会が担うのは、教材という知的財産や「公文式」ブランド、運営ノウハウの供給だけだ。
カネの流れはこうだ。生徒が払う会費は1教科あたり月7700円(東京・神奈川は8250円)。そのうちの一部が、ロイヤルティーとして本部へ納入される。
売上高と営業利益の比率を加味すると、公文がフランチャイズ加入者向けに示すロイヤルティー比率は会費の25%〜40%の範囲内であると筆者は推測する。
つまり本部は、教室という固定費の塊を一切持たずに、全国約130万人ともいわれる会費の相当割合を確保できる。校舎を建てず、講師を雇わず、それでも生徒が増えれば増えるほど本部にロイヤルティーが積み上がる。
公文のビジネスは、IP(知的財産)を持った企業のような「ロイヤルティー徴収ビジネス」とみる方が実態に近いのだ。
本部の固定費はほぼ一定だ。一方で、教室と生徒が増えても、教室側のコストは指導者が負担する。そのため、本部に入るロイヤルティー収入の増加分は、大半がそのまま利益として残る。
これは、経営学の用語では「オペレーティング・レバレッジ」と表現される。生徒が増える局面では、売上高の伸びをはるかに超えて利益が膨らむ構図となる。
しかも会費は毎月発生する継続課金型の収入である。公文は幼児期から小学校、さらにその先まで、学年の枠を超えて長く通い続ける設計になっており、いったん入会した生徒は数年単位で会費を払い続ける。受験期だけのスポット利用が多い進学塾と違い、解約まで毎月積み上がる「サブスクリプション」に近い安定収入だ。
財務基盤が自己資本比率66.0%、手元現金約956億円とほぼ無借金で極めて厚いのも、設備投資の要らない身軽なモデルが毎月キャッシュを生み続けてきた結果である。
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