1つ目は、大手企業で事業責任者を務めていた男性が、同じ業界内でポジションを1段階下げて転職した事例だ。担当していた事業が撤退することになり、社内に残る場合は未経験の分野で一から仕事を覚え直す必要があった。親の介護も重なり、新しい環境に適応する余力がなかったという。
結局、年収を1200万円台から1000万円台に下げ、事業開発や商品開発の経験を生かせる他社へ移った。担当したキャリアアドバイザーによると、本人は転職の直前まで、慣れた環境を離れることに不安を感じていたが、決断後は「長年積み上げてきた事業開発の経験を生かせる場所に決まって安堵した」と語ったという。
2つ目は、外資系から内資系企業に転職した事例だ。前職では国内外の出張が多く、高い成果を求められる環境で体力的な負担が増していた。人材育成に携わりたいという思いもあり、年収は820万円から700万円に下がったが、ワークライフバランスを重視できる内資系を選んだ。
桜井氏は、40代のこうした心境の変化を「ミッドライフクライシス」(中年の危機)になぞらえ、「できることが増える一方、体力や家庭環境といった制約条件も同時に増えていく年代だ」と分析する。事例を見ても、この「広がり」と「制約」がせめぎ合った末の選択だったといえる。
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