このような「外食のパクリ文化」の洗礼を、当然ながら「新時代」も受けた。例えば、某居酒屋は店頭の看板に「ハイボール120円」「サワーカクテル199円」とともに、「天串50円」を掲げた。店側の説明によれば、鶏の皮串をカラッと揚げて、秘伝のたれで仕上げたもので、価格も商品内容も「伝串」をほうふつとさせた。
ただ、ほどなくしてこの某居酒屋は看板を引っ込め、装いを新たにする。理由は定かではないが、外食業界でささやかれているのは、新時代の店内や公式Webサイトに大きく掲げられた以下の「警告文」が理由ではないか、という説だ。
「他人の名物を模倣し、あたかもそれを自店の名物かのように販売するフリーライド行為は知的財産権侵害に当たります。新時代グループはお客さまとの約束(安心、安全、本物の提供)を順守します」
新時代は「パクリ対策」に非常に力を入れていることで知られており、名物の「伝串」などのメニューだけでなく、「鶏皮串のピラミッド」という盛り付けまで、商標権、特許権、著作権など、計35件の知的財産権を保有している。
「居酒屋のメニューくらいでちょっと大げさじゃない?」と思う人もいるかもしれないが、こうした対策をしっかり行っておくことが大切だというのは、実際にパクられた側の偽らざる本音でもある。手羽先唐揚げを編み出した「風来坊」の大坪健庫会長は、メディアの取材にこのように悔しさをにじませている。
「"手羽先の唐揚げ"と名付けたのは私ですから、そりゃあ『世界の山ちゃん』が元祖と見なされていることには迷惑しています。商標登録をしておけばよかったと後悔しているくらいですよ」(現代ビジネス 2016年8月24日)
こうした先人の反省を生かして、新時代では自分たちの「強み」を法的にしっかりと守っているのだ。「パクリ」に対してここまで厳しいスタンスを表明しているとなれば、他のメニュー、看板、店のコンセプトなども模倣しづらいことは言うまでもない。
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