コンテストという形式にした瞬間、社員の目的はすり替わっていく。「サービスの付加価値を上げるアイデアを出すこと」から、「コンテストで入賞すること」あるいは「コンテストを企画した部長の顔を立てること」へと変わってしまうのだ。
私にも経験がある。
「社長の評価ポイントはここだろうな」
「専務は、やたらとAIエージェントについて触れているから、AIエージェントに関するアイデアにしよう」
このように評価者の思考パターンに忖度(そんたく)して、応募する内容を考えてしまうのだ。これは多くの会社でもあり得ることだ。
特に昨今は、AIを使うこと自体がいつの間にか「先進的でありがたいもの」として扱われるようになってきた。AIが絡んでいるというだけで、内容の吟味よりも先に、なんとなく評価が底上げされてしまうケースだ。だから本来何を評価すべきなのかが、とても見えにくくなってきている。
推進する側も、AIが絡むと無意識のうちにバイアスがかかってしまう。AIを活用して生成されたアイデアが多いと、
「我が社もAI活用に積極的だ」
「社員のボトムアップを促した」
という達成感を得られる。この満足感は、経営層にとって心地がいいだろう。社員が自主的にAIを使いこなし、発表会は盛況に終わるのだから。
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