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「新幹線料金と同じ」 ラピダス小池社長が明かす、2ナノ半導体“短納期”の勝算

» 2026年08月28日 07時00分 公開
[ロイター]

 Rapidus(ラピダス、東京都千代田区)の小池淳義社長は、計画する回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の先端半導体の量産開始について、AI向け半導体やデータセンターを中心とする旺盛な需要が同社への「強力な後押し」となり、量産開始に向けた工程が「遅れなく進行している」と明らかにした。

 小池氏はインタビューで、2022年のラピダス設立時に想像していたよりも「はるかに良い環境になり、需要の風がものすごい勢いで吹いている」と指摘。今後、自動運転などの車載分野やフィジカルAIでも需要が急速に高まり「間違いなくこの活況の流れは続いていく」との展望を示した。

 半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)など先行企業との競争は意識しているものの、求められる供給量は「1〜2社ではもう全然足りない状況」とし「これを供給するためにどうしたらいいのか毎日悩んでいる。少しでも需給ギャップを埋めるために全力を尽くす」と話した。

photo Rapidusの小池淳義社長(出典:ロイター)

「新幹線料金と同じ」 TSMCに対抗するスピード戦略とは?

 競合他社への対抗軸については「一にも二にもスピードだ。製造期間の短縮が顧客にとっては一番の魅力になる」と説明。とりわけ顧客にとって重要な試作品では「圧倒的な」短納期を実現すると強調した。

 ラピダスは、米IBMとの協業を軸に、米ニューヨーク州オールバニの研究拠点へ研究員を派遣し開発を進めてきた。2025年7月に北海道千歳市の拠点で回路線幅2ナノメートル級半導体の試作品に関し、トランジスタの動作を確認したと公表。小池氏によると、現在は性能やデバイス特性の向上に取り組み「性能は確実に上がってきている」という。量産に向け「今のところは予定通り進行している状況だ」と語った。

 また、製造に先立つ顧客の半導体設計作業を支援する仕組みも整備。顧客の設計期間も縮めることで、設計と製造の両面から開発のスピードを上げる戦略だという。

 価格戦略については、TSMCの価格が業界における一つの基準になるとの認識を示した。一方で、供給不足が続く市場では価格競争だけでなく、迅速な供給という付加価値を「顧客が評価する可能性がある」とコメント。「在来線より高速の新幹線料金を払うのと同じ原理で、高くても、とにかく数を出してくれるのが良いという世界に入りつつある」と述べ、納期短縮に対価を払う顧客が出てくるとの見方を示した。

GAFAMも評価開始 日本の衰退原因「自前主義」を打破する構想

 現在、潜在顧客の数十社と受注交渉を続けている上、米国のテック大手「GAFAM」(米Google、米Apple、米Meta、米Amazon、米Microsoft)を中心とする「幾つかの有名企業から興味をいただき、いよいよ評価が始まっている」と明かした。

 一方、大口顧客だけでなく、スタートアップ企業の支援も「大事な使命だ」と強調。複数顧客のチップを1枚のウエハーに載せて製造コストを抑える「シャトルサービス」も積極的に提供する方針を示した。欧州のスタートアップも「顧客になる可能性はかなり秘めている」とし「これらがいつGAFAMのような巨大企業になるか分からない」と話した。

 ラピダスは官民から約4176億円を調達しており、政府からは研究開発支援の形での資金も得ている。

 同社は2031年度ごろに新規株式公開(IPO)を実施する目標を掲げているが、小池氏はこれに関し、目標は当然あるが世の中の動きが激しいことを踏まえ「ある程度の幅をわれわれは考えている。確実にきちんとやっていきたいと思っている」と話した。同社は既に、IPO関連業務を担う人材の採用も開始している。

 小池氏は、かつて世界を席巻した日本の半導体産業の衰退の要因について、グローバルな協業という発想が欠けた「自前主義」にあったと分析。「日本だけに閉じこもっていては、どうにもならない。そこを全く変えようと思っている」と意気込む。2ナノの次の1.4ナノや0.7ナノ世代を見据え、世界の研究機関や企業との共同研究を通じて先端技術を取り込む必要があると語った。

photo 北海道・千歳市に建設されたRapidusの製造拠点IIM(イーム)。屋上一面に芝生が植えられ、北海道の豊かな自然との調和が図られている(ラピダスのWebサイトより)

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