日清食品では以前から、水で麺を戻すための研究を続けていた。過去には少なめの熱湯で麺を戻した後に氷を加え、冷やして食べる「ICEカップヌードル」も提案している。ただ、当時は冷水だけでおいしく食べられる麺を実現するには至らなかった。
転機となったのは、冷水で麺を戻す新製法「コールドリハイド製法」の確立だ。同社はこの技術で特許を取得している。開発期間は約5年。実現が見えてきたところで、ブランド55周年に向けて開発、生産、資材などの各チームが連携し、商品化を進めた。
開発で最大の壁となったのが麺だ。土岡氏は「冷水では当然温度が低くなります。水でも麺が均一に戻り、おいしく食べられる状態にすることが、開発時の最大のハードルでした」と話す。
この課題を克服するため、麺の原材料の配合や構造を、通常のカップヌードルとは異なるものにした。詳細は非公表だが、具材についても、冷水で戻した際においしく食べられるものを選んでいる。
試作も通常の商品より多かった。開発チームでは数十回にわたって試作し、マーケティングチームも10回程度確認を重ねた。
また、生産設備や資材調達にも新たな対応が必要だったという。
「既存のカップヌードル製造工場で製造していますが、新仕様の商品に対応するため、設備をアップデートする必要がありました。通常の商品とは異なる資材も使用しており、必要な量をサプライヤーから確保し、工場へ安定供給する体制づくりも新たな課題となりました」と土岡氏は話す。
インスタントラーメン市場は冬場の季節指数が高く、暑い時期には冷たいものを求めるニーズが高まる。近年は「災害級」とも言われる酷暑が続いており、「カップヌードルの新たな価値を提供できないか」という考えが商品化を後押しした。
とはいえ、「カップヌードルは熱湯で作る」という印象が強い。社内での反発の声などはなかったのだろうか。
土岡氏は、「お湯を使うこと自体がブランドの軸ではありません」と話す。食を通じて、おいしさに加え、楽しさや新しい体験も提供したい。その延長線上に冷水で食べるカップヌードルもあるという考えだ。
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