気になるのは、いかにして65億円という巨額の寄付を集めたかだ。ふるさと納税3.0の仕組みを使えば、どの事業者でも寄付を集められるわけではない。泉佐野市の担当者も「うまくいかないプロジェクトもある」と話す。
谷氏は「泉佐野市の協力が大きかった」と振り返る。
「本来は資本を投下して広告を出稿するのが王道です。しかし、ふるさと納税は総務省によって細かく規制されていて、基本的にはそのようなPRができません。返礼品を提供する事業者がPRする前例もほとんどなく、地道にやるしかなかったのです」
そんな中、頼りになったのが泉佐野市の職員だった。
「泉佐野市の方々は、ふるさと納税のルールにとにかく詳しいんです。そんな職員の皆さんと一緒に、適法かつ適切で、効果があるアピール方法を考えていきました」
例えば、テレビ番組の自治体PRコーナーに市と一緒に出演する、イベントで市のブースに並んで立つなど、地道に露出を積み重ねたのである。
もう一つ、谷氏がポイントに挙げるのが、寄付者を裏切らないことだ。
「寄付してくださった方のコメントやご意見は、ほぼ全部読んでいます。『完成を楽しみにしています』『こういうビールがあったらうれしいです』という声を聞き、できる限り調整します。返礼品に同封する冊子を楽しいものにするなど、かつて通販の業務で培った経験を生かしました」
よなよなビアライズの開業後、寄付者が実際に店を訪れることもあった。「『5年も経ったけど、完成して良かったね』と言ってもらい、一緒に乾杯する素敵な時間でした」と谷氏は顔をほころばせた。
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