アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授します。
Q.打ち合わせのメモをAIで整理することはできても、そこから企画書や管理表に仕上げる作業にとても手間がかかります。もっと手軽に完成させる方法はありますか?
Geminiでは2026年4月末から、チャット画面でWordやExcelのファイルを直接生成できるようになった。これまでも回答をGoogle ドキュメントやスプレッドシートへ書き出すことはできたが、最終的にOffice形式のファイルが必要な場合は、形式を変換してダウンロードするひと手間がかかっていた。チャットから直接出力できるようになったことで、資料作成にかかる時間を大きく減らせる。
今回は、打ち合わせのメモを起点にWordの企画書とExcelの進行管理表を仕上げるまでの手順を紹介する。
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
ここでは、自社で開催する顧客向けセミナーについて、打ち合わせ中に走り書きしたメモをもとに、資料作成を進めていく状況を想定する。
その場合、まずはメモをGeminiに渡して、次のように指示する。
以下は、顧客向けAI活用セミナーについて、打ち合わせ後に書いたメモです。
この内容をもとに企画書を作りたいので、まずは次の観点で情報を整理してください。
メモに書かれていない内容を推測して補わないでください。
不足している情報については、重要度の高いものから質問してください。
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(以下にメモを貼る)
すると、メモの内容を整理したうえで、不足している事項について、Geminiから質問が返ってくる。
ご提示いただいたメモの内容に基づき、各観点ごとに情報を整理しました。
1. すでに決まっていること
セミナー内容・構成
(中略)
2. まだ決まっていないこと(検討中・仮決定のもの)
日時・時間
(中略)
3. 確認が必要なこと(担当者への照会事項)
田中さんへの確認:本社会議室の空き状況
(中略)
4. 企画書を作るうえで不足している情報とご質問
企画書を具体化するにあたり、特に優先度の高い不足情報について確認させてください。以下の項目について決まっている点や方向性があれば教えていただけますでしょうか。
【重要度:高】(企画の骨組みに関わる決定事項)
1.具体的な開催日時(および決定時期)
2.開催形態(現地のみか、オンライン併用か)
(後略)
いきなり企画書の作成を指示するのではなく、情報を整理して足りない部分を補うプロセスを挟むことがポイントだ。メモからすぐに書類の作成を開始すると、重要な情報が抜けたり、不足情報をAIが勝手に補ってしまったりといったことが起こりがちだ。
決まっていること・決まっていないことを先に切り分けておけば、事実と推測が混ざった書類が作成されてしまうのを防ぎやすくなる。
今回は、質問に答える形で、開催日時、開催形態、ハンズオンの有無、講師、予算などの情報をGeminiに伝えた。続けて、企画書の作成を指示する。
ここまでの内容を踏まえて、企画書のファイルをMicrosoft Word形式で、このチャット内でダウンロードできる形で生成してください。
しばらく待つと、チャット内にWord形式の企画書が生成され、リンクからそのままダウンロードできる。
生成されたファイルは、チャット上でプレビューすることもできる。今回出力されたファイルでは、目的や対象者、開催概要、セミナープログラム、スケジュールなどが、企画書として読みやすい形式に再構成されていた。
単にメモを整理した内容をそのままWordに転記するのではなく、用途に合わせて構成やレイアウトまで整えられることがメリットだ。
同じチャットの内容をもとに、別の資料を作ることもできる。続いて、セミナー開催までに必要な作業や進捗状況を管理する進行管理表も作成してみる。
企画書を出力したチャット内で、以下のように指示すればよい。
ここまでの内容をもとに、セミナー開催までの進行管理表をExcelで作ってください。必要なタスク、担当者、期限などが分かる形に整理してください。
出力された管理表では、企画内容がタスクに分解され「タスク内容」「担当者」「期限(完了目標)」「ステータス」「備考・確認事項」などの列で整理されていた。今回は、列の項目名などはあえて指定せずにシンプルな指示にとどめたが、進行を把握するうえで必要な列が設定されている印象だ。
ただし、最初に現在の進捗状況を具体的に伝えていなかったため「ステータス」欄で一部の項目が未完了にもかかわらず「完了」と表記されてしまった。今回は、最初に「推測で補足しない」ことを指示していたが、それでもこのような出力は起こり得る。必ず人間が確認し、実態に合った内容に修正することが不可欠だ。
Excelの場合もWordと同様に、チャット上からファイルをダウンロードできる。
さらに、計画通りに進んでいないときに、進行管理表の見直しもできる。その場合は、以下のように現状を伝えればよい。
準備が予定より遅れています。告知がまだ始められておらず、セミナー資料の作成にも着手できていません。開催日は変更できないので、今後の進め方を見直して進行管理表を更新してください。
最初の進行管理表では「期限(完了目標)」となっていた列が「更新期限」に変わり、期限が組み直された表が出力された。変更された期限が赤い文字で表示されているので、どこが変わったのかもすぐに把握できる。
作成済みのファイルについて、これまでの流れを踏まえて更新版を作成できるので、業務の状況に合わせたファイルを随時アップデートしていけるのが便利だ。
今回はWordとExcelの出力をしたが、この機能ではPDFやCSVなどの出力にも対応しているので、用途に応じて柔軟に形式を選べる。1つのメモを起点に複数の資料を作り、それを必要な形式でダウンロードする過程まで、全てを同じチャット上で完結できるのがメリットだ。打ち合わせ内容を一度整理しておけば、企画書、進行管理表、関係者への案内文といった形式の異なる資料を同じチャット内で作成できる。
ただし、生成されたファイルが細部まで全て正確とは限らない。今回も、メモに記載のなかった進捗のステータスについて、実態とは異なる内容が記載されていた。生成されたファイルはあくまでも下書きとして扱い、必ず人間が確認・修正する前提で活用したい。
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