ITmedia NEWS >

この春は「裏面照射」が面白い! 搭載5製品を一気に試す(前編)(2/3 ページ)

» 2010年04月16日 10時42分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

リコー「CX3」

 リコーの高倍率コンパクトは「CX1」(レビュー)でブレイクした。より男性的かつクラシカルなデザインとなり、性能も安定した。このときはじめてCMOSセンサーを搭載し、CX3でセンサーが裏面照射型に進化したわけだ。基本コンセプトはCX3でも継承されており、裏面照射になったからといって特に特殊な機能は搭載されてない。

 高速連写やHDR(ダイナミックレンジ拡張機能)も前モデルから継承されたものだ。裏面照射型になり、ノイズリダクションの強さを選べるようになり、特に高感度時の画質が進化してコントロールできるようになったのが良さ。

 レンズは前モデル「CX2」と同じく35ミリ換算28〜300ミリ相当の10.7倍ズームとDSC-HX5VやEX-FH100と同クラスだが、「旅行用カメラ」という感じではない。汎用の高倍率ズームコンパクトだ。相変わらずワイド端で1センチ、テレ端でも28センチまで寄れる。300ミリ相当までのズームレンズを搭載しながらここまで寄れるカメラはまずない。マクロ撮影では相変わらず最強だ。

 他の4モデルに比べるとワイド側はやや弱いが、その分、テレ側が300ミリ相当で望遠側は強い。近くも遠くも広角も望遠もひととおりこなせる万能型といえよう。伝統の電子水準器がついているのもうれしい。撮影中に使う機能を瞬時に呼び出し、カスタマイズもできるADJ.メニューが使いやすい。今回の5機種でもっともオーソドックスといえるカメラだ。

photophoto シンプルでややクラシックなボディが特徴のCX3。カラバリは3色で、トップパネルのカラーを交換するサービス(有償、台数限定)もある(写真=左)、トップパネルはフラットでモードダイヤルが右肩についている(写真=右)
photophoto このジョイスティック(ADJ.バー)は優秀。押し込むとADJ.メニューが現れ、さっと細かな設定ができる(写真=左)、3インチのディスプレイは92万画素と高精細で非常に見やすい。画面下にあるバーは電子水準器(写真=右)
photophoto 28ミリ相当のワイド端(写真=左)、300ミリ相当のテレ端(写真=右)

ニコン 「COOLPIX P100」

 ニコンの望遠系ズームコンパクト「COOLPIX P90」(レビュー)の後継機が今回のモデル「COOLPIX P100」。撮像素子がCCDから裏面照射型CMOSセンサーに変更されたのが一番のトピックだ。一眼レフを小型化したようなデザインでグリップもしっかりしているし、電子ダイヤルも装備している。

 背面液晶は3型のチルト式で横位置でのロー/ハイアングルに対応。EVFも搭載。しっかり持ってしっかり撮るための望遠系カメラだ。レンズは35ミリ換算26〜678ミリ相当の26倍ズーム。望遠時はレンズがぐんと伸びてなかなかカッコいい。しかもF2.8-5.0と明るさも確保している。

 こんな望遠系ズーム機に裏面照射型CMOSセンサーは似合う。望遠になるほど手ブレを防ぐためにシャッター速度を上げるか、晴天下でない限り、ISO感度を上げる必要が出てくる。その点、高感度に強い裏面照射型は有利だからだ。望遠系モデルではスポーツや動物など動体を撮影するというニーズがついてまわるが、CMOSセンサーなら連写に強いので、こちらも有利。しかも動画はフルハイビジョン(ステレオマイク付)でハイスピード動画にも対応している。

 ただハイエンド機としてはユーザーインタフェースがちょっと残念。露出補正くらいはさっと電子ダイヤルで行いたかったところだ(せっかく電子ダイヤルがついているのに、露出補正は十字キーで行うのだ)。スタイルは一眼レフ風なのに、操作感はコンパクトデジカメそのものである。

 面白いのは、というか評価したいのはUSBで充電できること。本体側の端子が汎用的なminiBならもっとよかったのに。これなら汎用的な充電器やACアダプタ(USB端子で電源を出力するタイプ)で使える。これはありがたい。

photophoto テレ端にセットしたCOOLPIX P100。ワイド端ではもうちょっと短くなる。カメラっぽい精かんなスタイルが特徴だ(写真=左)、操作部。フルHD対応でマイクはステレオ。モードダイヤルには各露出モードに加えて、スポーツ連写、おまかせシーン、自動追尾AFなどが装備されている。グリップ部には電子ダイヤルが用意されている(写真=右)
photophoto 上下にチルトする液晶モニタ。ウエストレベルで構えて撮るときに便利。縦位置には応用できないが、横位置で撮るときはモニタが横に開くタイプより持ちやすいと思う(写真=左)、液晶のサイズは3型。ダイヤルで露出を変えられるが、露出補正は十字キーのみとなる(写真=右)
photophoto 26ミリ相当のワイド端(写真=左)、678ミリ相当のテレ端(写真=右)

富士フイルム 「FinePix HS10」

 ニコン「COOLPIX P100」と同様、望遠系ズーム本格派コンパクトであるが、FinePix HS10のスタイルは同社の提唱する「ネオ一眼」そのものだろう。レンズ一体型の一眼レフ的ボディは搭載しているのが1/2.3型の小さなCMOSセンサーとはとても思えない本格的なものである。

 レンズはなんと35ミリ換算24〜720ミリ相当の30倍ズーム。すごすぎて呆れるくらい。開放F値もF2.8-5.6と立派すぎ。その上ズーミングはマニュアルなのだ。ズームリングを回すとずずずっとレンズがせり出てくるのである。これは素晴らしい。

 ボディのデザインもいい。電子ダイヤルやモードダイヤルが斜めについていて回しやすいのは評価したいし、ボタンを押しながらダイヤルを回すことで瞬時に設定を変更できる操作系もすばらしい。ただ、レスポンスはやはりコンパクトデジカメ的で、ときおり反応が鈍い。そこが残念。でも価格(製品発表次点の実売想定価格は5万円前後)を考えればよくこれだけ作り込んでこの値段、と思う。

 本製品ならではのトピックとして、手ブレ補正を上げたい。光学式手ブレ補正に加えて、さまざまなブレをセンサーが検知し、ブレをキャンセルした写真を作ってくれる電子式手ブレ補正(縦回転/横回転/垂直/水平/光軸回転の5軸手ブレ補正)も持っている。電子式手ブレ補正をオンにすると撮影間隔はやや長くなるが、効果は絶大。メニュー内ではなく、ボタン1つでオンオフできるようにしてほしかった。なお、今回の5モデルのうち唯一、乾電池(単三形乾電池4本)で稼働するのもポイントだ。

photophoto グリップがしっかりした本格派ボディのFinePix HS10。鏡胴のリングはズームリングで回すとぐぐっとレンズが伸びる。しっかり構えて撮りやすい(写真=左)、テレ端時を上から。レンズを繰り出すと目安となる目盛がはいっているのが便利。これで720ミリ相当だ。デザインはこんなだが一眼カメラよりはずっと小ぶり(写真=右)
photophoto キモになるグリップ部。モードダイヤルと電子ダイヤルが斜めについているため回しやすい。こういう細かい所に凝ってるのだ(写真=左)、背面から。3インチ液晶モニタの左に5つのボタンが並ぶ。これらはボタンを押しながらダイヤルを回すことで設定を変えられて使いやすいのだが、反応がちょっと鈍いことも。残念(写真=右)
photophoto 24ミリ相当のワイド端(写真=左)、720ミリ相当のテレ端(写真=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.