撮影モード「背景ぼかし」は、「主被写体にピントを合わせた1枚」と「あえてピントをずらした参考用の1枚」というピント合わせの距離が異なる2枚を連続撮影して差分を検出し、主被写体にピントの合っている1枚の背景にぼかし処理を施す。被写体との推奨距離が存在しており、その距離はレンズの焦点距離で異なる。ワイド端(24ミリ相当)では約30センチ、48ミリ相当では約50センチと焦点距離が伸びるたびに比例して推奨距離も伸び、ワイド端(120ミリ相当)では2メートルとなる。
主被写体を検出して、それ以外の領域へぼかしを施すという処理のため、きれいにぼけるかはその検出精度に大きく左右される。上の花や銅像など周囲と色調が大きく異なる対象はなかなか上手に切り抜いてくれる(一部処理が上手にできなかったと見受けられる場所もある)が、地面で休むハトといった主被写体と周囲の色彩が似た場合には、処理が失敗することがある。背景ぼかしの撮影時には、主被写体と周辺の色彩、距離に気をつけよう。
さて、DSC-WX5の特徴点をいくつか見てきた。ここで兄弟機であるDSC-TX9とどちらを選ぶべきかを考えてみよう。何度も述べているよう、レンズとボディスタイル以外の機能はほぼ変わらないので、少しでも高倍率のズームレンズが欲しい、コンサバなスタイルが好みなら、DSC-HX5を選択すべき。一方、スリムさを優先させたいならばDSC-TX9だ。
両モデルを触ってみて、個人的に最も大きな違いに感じたのはユーザインタフェースだ。TX9は全面タッチパネルなので、撮影モード変更も液晶画面に触れて操作する必要がある(動画撮影用ボタンは用意されているが)。WX5はより一般的なボタンを多用したUIなので、TX9に比べると背面はごちゃっとした印象になるが、スイングパノラマや背景ぼかしといったサイバーショットらしい撮影機能もより積極的に使ってやろうという気にさせてくれる。TX9も任意の撮影機能を常時表示させるカスタマイズ機能を備えているが、さまざまな撮影モードをパッと切り替えて撮影するならば、WX5のほうがスムーズだ。
機能面ではほぼ同一なので、「コンサバかカードか」「5倍ズームか4倍ズームか」という軸で選択基準を語られることの多いWX5とTX9だが、「サイバーショットらしい撮影機能を積極的に使いこなしたいか」という判断基準を入れてもいいように思える。
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