成熟市場といわれて久しいコンパクトデジカメだが、裏面照射モデルの多数登場やスリムボディに10倍近くのズームレンズを搭載したモデルが一般化するなど、製品は進化を続けている。2010年に実際に多くの台数を販売したのはどのモデルか。GfK Japan調べによる本年度の販売ランキングをまとめた(集計期間は今年3月29日より12月19日)。
1位となったのは、3.5型と大型のタッチパネル液晶を搭載したキヤノン「IXY 10S」。そこにパナソニック「DMC-FX66」、カシオ計算機「EX-Z2000」と続いている。この3製品はいずれも24/25/26ミリスタートという広角側に強いレンズを搭載しており、室内でのスナップ撮影などに有利な広角レンズの搭載は一般的なものになった感がある。
コンパクトデジカメといえば、「小型軽量でカンタンキレイ」が至上命題となる製品ジャンルだが、最近では昨日の平準化(特に“カンタンキレイ”については各社製品とも高いレベルでの競争になっているため、差が出にくくなっている)が進んだためか、他製品との差別化を打ち出すモデルがふえている。
その一例が裏面照射型CMOSセンサーなどによる暗所撮影への強さであったり、10倍など小型ボディへの高倍率ズームの搭載であったりした訳だが、その先鞭(せんべん)をつけたのは10位にランクインしているソニー「DSC-HX5V」だろう。裏面照射型CMOSセンサー、10倍ズームレンズ、GPSなどを小型のボディに詰め込み、高評価を得た。コンパクトデジカメとしては高価な製品として登場しながら、年間ランキングにランクインした事実がその評価を物語っていると言える。
デジカメはあくまでカメラであるので、「撮る」機能の高性能化はこれからも続いていくが、コンパクトデジカメはその価格帯やサイズから、スマートフォンや携帯電話もライバルであり、その点からいえば「見せる」「撮った画像(動画)でコミュニケーションする」という領域で弱い。2011年はこうした領域に着手するモデルが増えるのではと予想するが、さて、どうだろうか。
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