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第138回 桜の花と撮り方の関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2011年03月25日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 実は3月の頭に桜を撮りに行ってきたのである。2月に咲くので有名な「河津桜」。桜にもいろんな種類があって、木の大きさや咲き方、花弁の色、咲く季節、みんな違う。

 観賞用の桜といえばソメイヨシノが代表だけど、河津桜もかなり多くの人が持ってる「桜」のイメージに近い。だからおいしいのだ。

 今回は今年撮った河津桜と、昨年撮ったソメイヨシノの2本立てで。

静岡で河津桜を撮る

 河津桜はおいしい。理由は3つある。

 ひとつめは色。ソメイヨシノに比べて色が濃くて非常にあでやかなのだ。ふたつめは開花期間が長いこと。1カ月近く咲き続ける。だから慌てなくても撮れる。みっつめは早く咲く上に場所が伊豆であること。簡単にいえば東京から撮りにいける距離なのだ。2月に撮りに行ければ、桜の季節に発売される雑誌に間に合うからね。桜を撮ろうって記事をこのように3月中に書けちゃう。余談すぎますね。

 そんな河津桜。河津は伊豆半島にある地名。発祥の地だ。昭和30年に偶然発見された自然交配の桜。偶然発見した桜の苗を自分の家の庭に埋めたら、なんときれいで見事な桜の花が咲きました、と。

 それが広がり、今では河津町は河津桜が咲き乱れ、町を挙げての河津桜まつりが繰り広げられ、観光客が山ほどやってくるのだ。

 これがその原木。見事な枝ぷりとピンクっぷりがすごい。

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 立派なものである。原木に出会えるのも河津桜の楽しさのひとつだ。

 桜の木は非常に種類がたくさんある。自然交配によって新しい種ができたりするからだ。河津桜はカンヒザクラとオオシマザクラの自然交配種といわれている。カンヒザクラは南の方の種で、早咲きで、花の色がピンクだけど、花が下を向いて咲く。オオシマザクラは伊豆大島の「オオシマ」。伊豆諸島や伊豆半島南部のヤマザクラで、花は白くて3月下旬から4月上旬に咲く。ちなみに桜モチで使われているのはオオシマザクラの葉。

 つまり両者がかけあわさったことで、早く咲いてピンクで花びらの形がきれいな河津桜となったわけだ。

 ちなみにソメイヨシノはエドヒガンザクラとオオシマザクラの交配種といわれている。こちらにもオオシマザクラの血が混じっているのだ(いや、木だから血は流れてないけど)。

 で、今年はもう間に合わないけど、河津桜の写真を。

 桜はいろんな撮り方を楽しめるのが面白い。

 まずは「花を主役」にして撮ってみる。花のピンク色をきれいに出すには青空背景がいい。青系の明るい色を背景にするとピンク系の花は目立つ。しかもさわやかな感じになる。

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 背景を同じ桜にするとほわっとした感じになる。同系色でまとめる感じ。このときは思い切ってプラスの露出補正をかけるのが吉。よりほんわり感が出るから。

photophoto 左が露出補正なし、右がプラス1

 背景を暗めの色、緑や川や何かの影などにすると、エッジがはっきりしてきりっとした感じになる。

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 花にぐぐっと寄りたいときは、望遠レンズがあると便利。ちょっと離れた花でも望遠でぐぐっと寄れば背景が大きくぼけて花が目立つし、メジロが止まってたりもするからだ。

photo 300ミリの望遠レンズでぐぐっと寄ってみた
photo メジロがいたので狙ってみた

 望遠だとこんな写真も楽しめる。望遠だと遠近感がぎゅっと圧縮されるので、実際の桜のトンネルより桜の密度が濃く写る。この密度感は望遠レンズならでは。ちょっと高い位置から撮るのがポイント。でも普通、脚立とかはないので、ライブビューで撮れるカメラなら手をちょっと上に伸ばして液晶モニタを頼りに撮ってもいい。

photo まるで桜のトンネルだ

 桜に限らず夢中になって撮ってるとだんだん日が暮れてきて、気がついたらシャッタースピードが遅くなってて、ちょっとした風でブレたりする。お気をつけを。

photophoto 風が強くて被写体ブレしてしまった(写真=左)、ISO感度を上げたくないときは風が止まった瞬間を狙って(写真=右)

 最後に、せっかく遠くまで遊びに来て桜を撮るのなら、そこでしか撮れない風景って狙いたい。

 見渡してみると、いろんなところに桜が咲いているはず。

 山の上にぽつんと1本咲いてたり。

photo 山の上に桜を発見

 春は新緑の季節。緑に包まれた山に薄いピンクの桜がぽつんとあると目立っていい。

 谷地に桜が植えられてたり。

photo 谷地に桜が

 この谷地の桜、川の脇に桜と梅と柑橘系の何かが植えられていて、上からのぞき込むと梅の白と桜のピンクとオレンジと緑がまざっててなかなかいい具合なのだ。谷の上にある旅館の部屋から撮ってみた。このように背景が暗いときはマイナスの補正をかけること。

 時にはあえて桜を撮る人をいれてみたり。人がはいると、その桜が愛されてる感じがでてよい。

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