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タッチパネル対応の“OLYMPUS PEN”最上位機――オリンパス「E-P3」(2/3 ページ)

» 2011年08月03日 10時36分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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充実したボタンのカスタマイズ機能

 撮影モードは、フルオートに相当する「iAUTO」のほか、プログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアル露出、シーンモード、アートフィルター、動画の全8モードを用意する。絞りやシャッター速度は、背面の十字キーのまわりにあるメインダイヤル、および背面右上にあるサブダイヤルでダイレクトに調整できる。メインとサブの2つのダイヤルを備えることは、下位の「PEN Lite」シリーズとは異なる「PEN」シリーズのメリットだ。

 露出補正とストロボモード、AFエリア、ドライブモードの各設定については、背面の十字キーを押して設定する。ISO感度や測光、ホワイトバランス、画質モード、アスペクト比などの他の設定については、十字キーの中央にあるOKボタンを押し、「ライブコントロール」画面を呼び出して設定する。

photophoto OKボタンを押すと、モニターの下部と右側に表示される「ライブコントロール」画面。初代「E-P1」から受け継がれた操作インタフェースだ(写真=左)、MENUボタンを押して表示されるメニュー画面はデザインを改良。撮影メニューでは、多重露出やブラケット撮影、デジタルテレコンなどを設定できる(写真=右)
photophoto 背面に動画用の赤いムービーボタンを装備。ここに別の機能を割り当てた場合は、シャッターボタンで動画撮影のスタート/ストップを行う(写真=左)、2つのFnボタンのほか、十字キーの右ボタンと下ボタン、ムービーボタンについても、割り当て機能のカスタマイズができる(写真=右)

 自分にとって使用頻度の高い機能については、ボタンのカスタマイズ機能を利用して、2つのFnボタンまたはムービーボタンに割り当てておくと便利だろう。従来機に比べて、割り当て可能な機能の選択肢が増えたことはありがたい進化だ。

 気になったのは各種のボタンやダイヤルの配置だ。手の大きさによって個人差があるとはいえ、メインとサブの2つのダイヤルの位置は適切とは思えない。従来機から移動した電源ボタンの位置についても、慣れるまでは少々違和感を覚えた。

 メニュー画面はデザインを一新し、フォントを変更することで、視認性が向上した。撮影メニュー/再生メニュー/カスタムメニュー/セットアップメニューに分かれたメニューの基本構成はこれまでの製品を踏襲する。これらのメニューから設定できる項目は非常に多く、同社製品を初めて使うユーザーには迷う部分もあるだろう。自分の使い方に応じて、カスタムメニューの各項目をきちんと設定しておくことが、本モデルの使い勝手を高めるカギといえる。

photophotophoto カスタムメニューのInfo表示設定では、ライブビュー画面や再生画面に表示させる内容を細かくカスタマイズできる(写真=左)、画像のアスペクト比は、通常の4:3のほか、16:9や3:2、6:6、3:4に切り替えられる。4:3で撮影し、後からアスペクト比を変更することも可能だ(写真=中)、デジタル水準器では、カメラの水平の傾きとあおりをバー表示によって確認できる。この水準器表示の際、絞りとシャッター速度を表示できるように改良された(写真=右)

画像処理エンジンをリニューアル

 撮像素子には、4/3型有効1230万画素のハイスピードLive MOSセンサーを、画像処理エンジンには「TruePic VI」をそれぞれ搭載する。センサーのスペックは従来製品と同じだが、エンジンの改良によって画質と処理速度が向上した。実写では、細部までくっきりと描写できる解像感の高さと、クリアでクセのない色再現を確認できた。感度は、最低ISO200から最高ISO12800までに対応。ISO800くらいまでは高感度ノイズはあまり気にならずISO1600でも実用レベルといえる。

 画質の調整機能としては、ピクチャーモードを搭載する。初期設定の「Natural」では自然な色合いになり、好みに応じて、より鮮やかな「Vivid」や落ち着いた色調の「Flat」、シーンに応じた印象的な仕上がりの「i-Finish」などに切り替えられる。またピクチャーモードの詳細設定から「階調」をオートに設定した場合は、アドバンストSAT(シャドー・アジャストメント・テクノロジー)によって白とびや黒つぶれが最小限に抑えられる。従来機のSAT機能に比べて、その効果はより強力になった。

photophoto 左が階調「標準」、右が階調「オート」。いずれも露出補正:−0.7 ISO400 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:Vivid 焦点距離:12ミリ レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」
photophoto ピクチャーモードは5種類から選択でき、自分で調整した値をカスタムとして登録することもできる(写真=左)、カメラ内RAW現像では、ピクチャーモードやホワイトバランスの設定を変更したり、アートフィルターを後から適用したりできる(写真=右)

 特殊効果を加える「アートフィルター」機能は全10種類に対応する。さらにアートフィルターに効果を追加する「アートエフェクト」機能としては、画像の周辺部を暗くする「ピンホール」や、周辺部を白くする「ホワイトエッジ」、光の輝きを加える「スターライト効果」など5モードを搭載。新機能のアートフィルターブラケットでは、1回の撮影で効果が異なる複数のアートフィルターの画像を適用して撮ることもできる。

photophoto 光源などにクロスの光を加える「スターライト効果」の設定画面(写真=左)、画像の周辺部を白くする「ホワイトエッジ効果」の設定画面(写真=右)
photo アートフィルター「ポップアート」とアートエフェクト「スターライト効果」を適用
photo アートフィルター「ジェントルセピア」とアートエフェクト「ホワイトエッジ効果」を適用

 そのほかには、画像のシャドウ部/ハイライト部の明るさを調整するトーンコントロール機能や、画素補間によって2倍のズーム効果を得るデジタルテレコン、3Dテレビで鑑賞可能な3D写真の撮影機能、カメラ内RAW現像、RAW画像の合成などの機能を搭載。動画はAVCHD規格によるフルHD記録に対応する。

 これらの多彩な機能を気軽に楽しめることがE-P3の大きな魅力といえる。従来モデルに比べて特にレスポンス面が進化したことで、より快適な撮影が可能になったことや、マイクロフォーサーズの交換レンズが充実してきたこともうれしいポイントだ。

photo オプションの外部ストロボ「FL-300R」を装着したE-P3。レンズは左から、標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R」、広角単焦点「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」、望遠ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」

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