先日、とある雑誌でコンデジからマイクロ一眼に買い換えた人を取材した際、買い換えて最初に感じたことは?と尋ねたら、間髪入れず「ボケること」と返ってきた。
背景がボケると写真がうまくなった気がするし、撮りたかった被写体がより目立つし、ちょっと気持ちいいってのは分かる。
そこで今回はボケた写真を撮ろうって話だ。
日本語だと「ボケ」。ピンボケのボケと同じ。英語だと「bokeh」。ウソのようだが本当で、津波がそのまま「tsunami」になったのと同じで、和語がそのまま英単語になったのである。英語版のWikipediaにもちゃんと「bokeh」って項目があるくらい。
ほわっとぼけて柔らかくほんわり。プラスの補正をかけて明るく仕上げてみた。
この背景や前景(手前)のボケ具合はどうやって決まるのか。
いくつかの要素が関係するが、一番大きなポイントは「撮像素子のサイズ」だ。画角が同等なら、撮像素子が大きい方がよくボケるのである。
試しにコンデジサイズ(1/2.3型)の「PENTAX Q」と、マイクロ一眼(4/3型)の「LUMIX DMC-G3」と、デジタル一眼レフ(APS-Cサイズ)の「D7000」で撮り比べてみた。絞り値をF2.0にそろえ、画角は35ミリ換算47〜52ミリ相当(完全に一致するレンズがなかったのでその辺は勘弁)である。
サムネイルで見ても分かるのが、PENTAX Q。やはり1/2.3型と撮像素子が小さいので、背景のボケも弱い。ボケを生かした写真を撮るにはマイクロフォーサーズ以上の撮像素子が欲しいってことだ。マイクロフォーサーズとそれより大きなAPS-Cサイズの違いは画像をクリックして大きくしてみると分かる。
つまるところ、ボケを楽しむなら、マイクロフォーサーズ規格以上の大きさの撮像素子を搭載したレンズ交換式カメラに買い換えよう、というのは正しいのだ。
次に重要なのは「絞り値」。絞りを開く(つまり、絞り値を小さくする)ほど、ボケは大きくなる。マイクロフォーサーズ機のDMC-G3を使い、F1.8とF5.6で撮り比べたのがこちら。
同じ料理なんだけど、F1.8の方が圧倒的に大きくボケているのが分かる。
ちなみにF5.6の方は14-45mm F3.5-5.6の標準的ズームレンズ。だからこれ以上絞りを開けられない。F1.8の方は45mmF1.8という明るい単焦点レンズ。単焦点レンズはズーム機構が不要な分レンズを明るくできる。F1.8とF5.6の差はとてもでかい。
よって、ボケをより楽しむなら「明るい単焦点レンズ」を用意すべきである。明るいレンズを絞り込んで使うことはできるけど、逆は無理だから。
単焦点レンズは、ズームできないけど、コンパクトで軽いし明るいしで、標準ズームとはまったく違う世界を楽しめるのだ。
というわけで、明るいレンズでボケで遊んでみた。
ぐぐぐっと絞り込むと、ピントの合う範囲がぐぐっと広がるのが分かると思う。まあその分背景もボケなくなるので善し悪しだが、ちなみに、普通のコンデジで撮るとF13で撮ったときと似た感じになるかと思う。
ちなみにこのモデルさんのポートレートは来月たっぷりとやります。
さて3番目のポイントは焦点距離。「何mm」とかいうやつ。撮像素子とレンズの焦点との距離。これが長くなると望遠になり、画角(つまり、写る範囲)が狭くなる。でもって、広角より望遠の方がボケやすくなる。
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