キヤノン「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」は、対角線魚眼と全周魚眼の2つに対応した魚眼ズームレンズです。魚眼ズームといえば、ほかにもペンタックス「DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5ED[IF]」やトキナー「AT-X 107 DX Fisheye」が発売されています。この2本は、ワイド端で使用した場合に対角線方向に180度の画角を持つ「対角線魚眼」となり、そこからズームアップできるようになっています。
これに対して「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」は、対角線魚眼だけでなく、全周にわたって180度の画角を得られる「全周魚眼(円周魚眼)」に対応したことが注目すべきポイントです。35ミリフルサイズのセンサーを持つ「EOS」に装着した場合、8ミリのワイド端で全周魚眼となり、15ミリ付近までズームアップすると対角線魚眼になります。
本レンズの特性を最大限に発揮させるにはフルサイズ機での使用がお勧めですが、APS-CやAPS-HサイズのEOSでも利用可能です。APS-Cサイズのセンサーを持つEOSの場合には、焦点距離約10ミリで対角線魚眼となり、必要に応じてズームアップができます。
外装は防じん・防滴に対応した高品位な作り。丸くふくらんだ前玉部分にはフッ素コーティングが施され、ホコリやキズ、水滴などの付着を抑えています。レンズフードは、ねじ込み式で花形のものが標準付属。全周魚眼で撮影する場合は、フードは外して使用します。ガラスフィルターの装着はできませんが、レンズ後部にはゼラチンフィルター用のホルダーを備えています。
AFは超音波モーターUSMによって高速かつ静かに作動。フォーカスリングによるマニュアルフォーカスの操作感も良好です。
上の写真は、フルサイズ機「EOS 5D Mark II」を使って焦点距離8ミリおよび14ミリで撮影したもの。画面の隅々までシャープに解像しています。撮影地は巨大建造物ファンにはおなじみの場所、首都高速箱崎ジャンクションです。高速道路や工場、ダム、鉄塔などの人工物の景観をとらえた写真は、数年前からマニアの間でちょっとしたブームになっていますが、そうした撮影にも魚眼ズームはうってつけです。全体をまるごと記録するだけで、今にも動き出しそうな構造物の異様な迫力とスケール感を際立たせることができます。
狭い場所でも重宝します。上の2枚は、所沢航空発祥記念館で撮影した輸送用ヘリコプターの内部です。本レンズに限らず、魚眼レンズは被写体が極端に丸くゆがみ、肉眼とは違った風に写ります。しかし、この写真のような狭い空間では、目と肌で感じた場の雰囲気がそのまま記録され、むしろ実際の印象に近い写真になるような気がします。
最短撮影距離は15センチに対応。最大の撮影倍率は0.34倍(焦点距離15ミリ時)と高く、植物や昆虫、小物などに接近してクローズアップの撮影を楽しむことができます。下の2枚は、八千穂高原でとらえた原生林です。山歩きに持参すれば、ほかの一般的なレンズとは異なる個性的なカットを撮るのに役立ちます。
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