紅葉は風景写真の定番ともいえる題材のひとつ。美しく色付いた木々のまわりには、カメラや携帯電話を構えた人たちが、吸い寄せられるように集まってきます。趣味として写真撮影をたしなむ人はもちろん、そうではない一般の人でも、ついカメラを向けたくなる魅力的な被写体だからです。
紅葉の撮り方に決まったルールはありません。赤く染まった山を全景として広々とした構図でとらえてもいいし、形のいい葉っぱにポイントを絞ってクローズアップで撮るのもいいでしょう。紅葉だけでなく、川や湖、滝、建物などと絡めてもいいし、田舎だけでなく都会の紅葉を切り取るのも面白いでしょう。こう撮るべきという決まりはありませんが、撮影時にここに留意すべきというポイントはいくつかあります。それを順に紹介しましょう。
まずカメラの設定から確認していきましょう。デジカメのさまざまな設定の中でも、紅葉撮影で特に大切なのは「ホワイトバランス」と「仕上がりモード」です。ホワイトバランスは、初期設定のオートの場合、その場の光の状態に応じて写真の色合いを自動的に調整してくれます。
しかしオートは万能ではありません。特に赤や黄色など特定の色の被写体が画面内に多く占める構図の場合、見た目よりも色が薄く写ってしまうことがあります。また、夕日によって紅葉の赤がいっそう強調されたシーンや、曇天や雨天のやや青みを帯びたシーンでも、ノーマルな色調に自動補正され、せっかくの雰囲気が損なわれることがあります。
そんなときはホワイトバランスを「晴天(太陽光)」にセットします。「晴天」なら、晴れた日の鮮やかな色や夕日の赤、曇りの日の青みをそのまま表現可能です。さらに、紅葉の赤みをより強調したい場合には、ホワイトバランスを「曇天」や「日陰」に設定する手もあります。ただ、あまり極端な設定では違和感のある色になります。「晴天」を基本にしつつ、他の設定を試してみるくらいがお勧めです。
仕上がりモードとは、写真の発色傾向を切り替える機能のことです。名称はメーカーによって異なり、例えばキヤノンでは「ピクチャースタイル」、ニコンでは「ピクチャーコントロール」と呼ばれています。この仕上がりモードの選択次第で、紅葉写真の雰囲気は大きく変化します。
仕上がりモードの基本になるのは、「スタンダード」です。多くのデジカメでは、初期設定の「スタンダード」を選ぶことで、見た目の印象に近いバランスの取れた色合いになります。そのうえで、いっそう鮮やかでインパクトの強い紅葉を表現したいときは「ビビッド」や「風景」に切り替えます。ただ、もともとから色が濃い紅葉の場合は、「ビビッド」や「風景」では色が飽和して、かえって不自然な色になるケースもあるので注意が必要です。
ソニー「α77」のように、仕上がりモード(ソニーでは「クリエイティブスタイル」)として「紅葉」が用意されているカメラの場合は、これを利用するのもいいでしょう。
撮影の際に、ホワイトバランスや仕上がりモードの設定をどれにすべきか、迷って決められないこともあるはずです。デジタル一眼やコンパクトデジカメの上位製品の場合は、ファイル形式をRAWで撮影しておき、後からRAW現像する際に最適なホワイトバランスと仕上がりモードに設定する、という手もあります。
・デジタル一眼ビギナーのためのLightroom入門:第3回 アーティスティックに加工するRAW現像のコツ
・デジタル一眼ビギナーのためのLightroom入門:第2回 現像モジュールの7つの機能を使いこなす
・デジタル一眼ビギナーのためのLightroom入門:第1回 写真を見違えるように仕上げるRAW現像の基本
・初級者のためのRAW現像入門(前編)――RAW撮影のススメ
・初級者のためのRAW現像入門(後編)――Lightroom 3を試す
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR