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「Nikon 1 J1」第2回――多彩な高速連写機能を試す長期試用リポート

» 2011年11月29日 11時00分 公開
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まずはレンズのファームアップから

 先日(2011年11月21日)、手ブレ補正付きの交換レンズ「1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6」「1 NIKKOR VR 10-100mm f/4.5-5.6 PD-ZOOM」「1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6」の新ファームウェアが公開された。筆者が主として使用している「1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6」では、適用することで次の修正が行われる。

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 (1) カメラが大きく振られた直後に撮影した場合、まれに撮影画像がブレる現象を修正。

 (2) カメラが設定した絞り値と異なる値が撮影データに記録されることがある現象を修正。

 実はこれまで、ごくまれにシャッターを全押ししてから少しタイミングがズレて撮影されることがあり、その場合必ずブレた写真となっていた。この現象が(1)に該当しそうだ。(2)に関しては、前回のISO AUTOでのISO感度の上がりが悪いという事に関連しているのではないだろうか。今回、この新ファームウェアに更新したレンズで、屋内などで試したがISO AUTO感度の上がりが悪いと感じる事はあまりなかった。

photophotophoto SDメモリーカードにファームウェア更新用のバイナリーファイルをコピーし、MENUの中の「ファームウェアバージョン」を選び、ファームウェアのバージョンアップを行う(写真=左)、ファームウェアの更新は10秒程度で終わった(写真=中)、更新プログラム終了後、一旦電源を切って再起動後「ファームウェアバージョン」でバージョンを確認。レンズのファームウェア(L)がVer1.02となった(写真=右)

「スマートフォトセレクター」の威力

 さて今回はNikon 1 J1/V1の特徴でもある連写機能を試してみた。まずは、モードダイヤルで選べる「スマートフォトセレクター」から。この機能は、シャッターを全押しした前後を秒間30コマで20枚撮影し、その中からベストな1枚と候補を4枚、計5枚を保存する。露出モードはおまかせシーン(プログラムオート)となり、シャッタースピードや絞りを設定することはできない。

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photophoto スマートフォトセレクターが選んだ5枚

photo 「スマートフォトセレクター」は背面の撮影モードダイヤルに含まれている

さて、撮影した5カットをみるといずれも動いている電車がブレている。シャッタースピードが1/60秒となっていることが原因だが、撮影するシーンによってはISO感度が上がって1/125秒となることもあり、シーンに対する露出制御に少し癖があるようだ。

製品サイトでの機能紹介を見ると、上の写真のように、高速にフレームを横切る被写体を撮る高速連写機能というより、パーティーや子どもの日常など、不意の一瞬を逃がさない撮影機能といったニュアンスを感じるが、せっかくモードダイヤルの独立した機能なので、ISO感度を上げない画質優先か、ISO感度を上げてでも高速シャッターとするか選ばせて欲しいと感じた。

 この「スマートフォトセレクター」は秒間30コマの連写だが、Nikon 1シリーズにはさらに高速連写が可能となる、電子シャッター使用の秒間60コマ連写機能もある。モードダイヤルを「静止画撮影モード」に切り替えて、背面の「F」ボタンを押して「エレクトロニック(Hi)」を選ぶ。ただし、連写速度(10fps、30fps、60fps)は、MENUからあらかじめ設定しておく必要がある。

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 この電子シャッターだが、シャッターを押すタイミングがつかめず想定していたものより遅れて撮影が開始されるように感じた。そして秒間60コマで撮影されたカットを見ると、一瞬で通り過ぎる電車が、通り過ぎるギリギリまで細かく撮影されている事が分かる。なお、秒間30/60コマ連写のオートフォーカスは、最初の1コマ目で固定となる。そのため向かってくる被写体に対しては徐々にピンボケとなってしまう。

 秒間10コマにした場合は、連写中も画面の中央のAFフレームでピントを合わせ続けるが、今回のように被写体が画面の外へ抜けるような場合、思ったような動作をしてくれなかったので注意が必要だろう。

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photophotophotophoto 秒間60コマの連続撮影。撮影は、一瞬で終わる
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photophotophotophoto こちらは秒間10コマの連続撮影。秒間60コマとは違い、撮影時間が長いため列車をフォローするような動きが出来た。ピントの位置がコマごとに違うことが分かる

 J1には初心者でもカメラ任せでなんでも撮れるイメージがあるため、特に凝った設定もせずに撮影した訳だが、今回のような被写体の場合はセオリー通り絞って被写界深度を稼ぎ、被写体がブレないシャッタースピードで撮影した方がよさそうだ。ちなみにISO AUTOの場合は、マニュアル露出で絞り・シャッタースピードを決めると、適正露出になるようにISO感度が設定されるので今回のようなシーンで有効だ。

 連写時の連続撮影可能枚数は、JPEG(LARGE・FINE)、RAW、RAW+JPEGともに14枚だが、高感度ノイズリダクションをオフにするとJPEGで23枚、RAWで17枚に増える。このクラスのデジタルカメラとしては十分すぎるほどの撮影可能枚数といえる。RAW撮影主体の場合は高感度ノイズリダクションをオフにし、枚数を稼ぐ使い方も良いだろう。

photo 高感度ノイズリダクションをオフにすると、RAWデータでもデジタル一眼レフ並の17枚の連続撮影が可能となる(画面右下「r17」の数字に注目)

 電子シャッターでの高速連写は、12枚の連写(液晶モニター上では「r13」表示となる)が終わった時点で連写モードが解除されデータ書き出しとなる。高速連写可能なカメラの中には「保存はJPEGのみ」といった条件のある製品もあるが、J1/V1はRAWやRAW+JPEGという設定でも撮影・保存が可能となっている。

 秒間60コマの連写12枚は、ほんの一瞬で終わってしまう。せめて1秒間連写できれば……と思ってしまうが、さすがに毎回60枚も記録されるとすぐにメディアが連写画像で一杯になってしまうし、カット選びも大変になる。とは言え、フルハイビジョンよりも高い解像度で動画並みの連写ができることに、このシステムの可能性を感じる。

 最後に、RAWで17コマ連写をするとClass 10のSDHCカードでも記録に十数秒かかったので、より高速タイプのUHS-I SDHCカードであればもっと快適に使えるのではないだろうかと思ったのと、SDメモリーカードの買い換え時期が来たことを感じたことを付け加えておく。

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