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「FUJIFILM X10」第1回――デザインにホレるカメラ長期試用リポート(2/2 ページ)

» 2011年12月01日 11時30分 公開
[小山安博,ITmedia]
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快適な操作性で撮影を楽しめる

 操作性にもいろいろな工夫がある。ズームレンズを「OFF」の位置から回転させてレンズを繰り出せば電源が入る。レンズが沈胴式のため、どのみち電源オンでレンズを繰り出す必要があるので、レンズ操作と電源が一体化しているのはムダがない。電源ボタンでレンズが繰り出すよりもアナログ操作感があるのもいい。実用的な面では、ボタンを探さずにすぐに電源を入れられるというメリットもある。

photo OFFの位置からズームレンズを回すと電源オンになる。この仕組みは分かりやすくていい

 レンズはX100の単焦点レンズに比べると利便性を取ったためか、35ミリ換算で28〜112ミリの光学4倍ズームレンズとなっているが、開放F値はF2.0〜F2.8と明るい。これ1台ですませようとするにはもう少し広角よりだとうれしいし、光学倍率ももうちょっと欲しいが、そのあたりは光学性能とトレードオフの部分ではある。広角端でF2.0、望遠端でもF2.8という明るさは、ほかに代えがたい特徴と言っていい。

 ズームリングをマニュアルで回して行うので、ズーミングは直感的に行える。任意の位置に無段階でズームできるのもいい。広角端から望遠端まで、素早くもゆっくりもズーミングできる操作性は良好だ。

 ボタン類は豊富。液晶画面の左側に再生、AE、AF、WBの各ボタンが並び、右側にはメインコマンドダイヤル、AFL/AELボタン、円形の十字キー一体型のサブコマンドダイヤル、DSIP/BACKボタン、RAWボタンが並ぶ。

photo ボタン数の多い背面

 最近のコンパクトデジカメにはあまりないボタン数の多さだが、慣れれば使いやすい。露出やピントを固定するAFL/AELボタン、測光モードを1ボタンで変えられるAEボタン、AFエリアの選択ができるAFボタンと、初心者向けのコンパクトデジカメにはあまり搭載されないようなボタンだが、こういった機能が必要なユーザーにとってはありがたい機能。個人的には中央1点でAFロックを使って撮影するが、1ボタンで測距点が移動できるのは便利だ。

photophoto AFL/AELボタンの動作は変更可能で、AEのみ、AFのみ、両方ロックの3種類から選択できる。普通はボタンを押している間にロックされるが、押すとロックが固定される設定も可能

 レンズ脇にあるスイッチの切り替えでAF-S、AF-C、MFを切り替えられるのだが、MFはもう少し使いやすいと良かった。背面のダイヤルでピント合わせができるのだが、やはりまどろっこしいのは確かで、構造上、難しいだろうが、ピントリングも欲しかったところである。

photo フォーカス切り替えスイッチ。常時ピントを合わせるAF-Cは、実際にピント合わせをするときに速いが、バッテリーの消耗もあるので、普段はAF-Sでいいだろう。スイッチですぐに切り替えられるのはいい

 ホワイトバランス、RAWの切り替えに1ボタンでアクセスできるのも便利。ISO感度も欲しかったが、上部のFnボタンのカスタマイズでISO感度が割り当てられるので代用できる。

photo RAWの設定はメニューの奥にあり、簡単には変えづらい。RAWボタンを押すと、JPEGとRAW+JPEGが切り替わる
photophoto 本体上部にFnボタンが配置されている。設定で各種機能を割り当てられるので、頻繁に使うものを設定すればいい。個人的にはISO感度を割り当てていたが、撮影の目的に応じてフィルム シミュレーションを割り当てても良さそう

 基本的に撮影は、レンズを回して電源を入れ、そのままズーミングし、構図を決めてシャッターを切る、という流れになる。同社製品ではおなじみ「EXR AUTO」機能を搭載しており、シーンに応じて高解像度優先、ダイナミックレンジ優先、高感度・低ノイズ優先の3種類から最適なモードで撮影してくれる。

photo 基本的にはEXR AUTOでいいが、シーンによって個別に設定もできる

 撮影モードにはオートやシーンモードもあるが、基本的にはEXR AUTOかマニュアル撮影を選びたい。モードダイヤルではP/A/S/Mがそれぞれ選べ、EXR AUTOよりも細かな撮影設定ができる。特にA/S/Mでは、背面のダイヤルを使って設定ができるので、一眼レフ並みとまでは言わないが、かなり快適に設定ができる。A/Sの場合は露出補正ダイヤルで露出を設定するので分かりやすい。Mの場合は、2つのダイヤルが使えるのも便利だ。

photo M(マニュアル撮影)モードの画面。絞りとシャッタースピードは、背面の2つのダイヤルでダイレクトに切り替えられる

 撮影に関してはおおむね満足できるのだが、機能が豊富な割に、細かい点として気になったのが無線LAN内蔵メモリカード「Eye-Fi」用の設定画面が用意されていないこと(Eye-FiのWebサイトによれば、Connect X2/Mobile X2/Explore X2/Pro X2が対応となっている)。Eye-Fiをセットして撮影すると常時動作して画像を転送しようするので、転送のオン・オフを選べればよかった。

photophoto 豊富な機能の一例を挙げると、あまりコンパクトデジカメにはない色空間の設定や、AE/ISO/フィルムシミュレーション/ダイナミックレンジという豊富なブラケティング機能も搭載

 本格的な撮影機能もあるが、そのスタイルを楽しみ、気軽に撮影し、高画質が得られる、というのがX10の良さでもある。ボタン類は多くても、その分すぐに設定が変更できて操作が楽なので撮影が楽しめる。個人的に、「ボタンを減らしたから分かりやすい」というインタフェースは好ましく思えない。1ボタンで機能にアクセスしやすいX10のインタフェースには好感が持てる。

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