三脚の目的はカメラの固定です。その目的からすれば、必然的にしっかりとした作りの三脚を選ぶのが正解なのですが、そうした三脚は重く、また、高価なものとなりがちです。まずは自分が三脚を使うシチュエーションを想像してみましょう。
最近では手ブレ補正機能が付いたレンズやカメラが増えていますので、ブレは少なくなったように感じますが、撮影距離や被写体によってはそうした手ブレ補正では補正できないこともあります。そういったブレに対して、三脚を使用することでこれらの問題を解決できます。
また、シャッターを長い時間開けるスローシャッター撮影を行う際にも三脚は欠かせません。水流などの動きを見せる撮影などでは、数秒から数十秒のシャッタースピードとなるため、三脚は必要となります。そのほかにも、定点観測的な撮影や重いレンズを使用しての長時間撮影、そしてセルフタイマー撮影などの際にも三脚を使用することになるでしょう。
使う用途を想定したらカメラとレンズの重さを確認しましょう。コンパクトデジタルカメラやミラーレス一眼&標準ズームレンズなど総重量が1キロ以下ならば、たいていの三脚で問題ありませんが、デジタル一眼レフカメラと焦点距離の長い望遠レンズのような場合にはかなりの重さとなります。どれぐらいの重さに耐えるかは三脚ごとに違いますので、この重さを確認しておくことが必要です。
次に気をつけたい点が、三脚の脚を伸ばした状態の最大高です。三脚を使用して自分の目線の高さにカメラが来ると使いやすいのですが、最大高の高い三脚は脚を縮めた状態でも大きくなってしまいます。脚を縮めた状態で、持ち歩く際に苦にならないサイズを選び、その中で最大高の高い三脚を選びましょう。
候補が絞られてきたところで、最後に三脚自体の重さです。三脚の脚は剛性のある金属製のものや軽いカーボン素材のもの、プラスチック素材のものなど様々。グラグラしないしっかりとした三脚を選ぶことが最も重要ですが、持ち歩くカメラ一式と三脚の総重量を考慮して自分にあった三脚を選びましょう。
ミラーレス一眼やコンパクトデジタルカメラ、そしてデジタル一眼レフカメラでもフルハイビジョンの動画を撮影できる製品が増えてきました。動画撮影が身近になったことは喜ばしいことですが、手持ちで動画を撮影すると船に乗ってるような緩い揺れの連続する映像になりがちです。
また、カメラを構えたまま同じ姿勢で長時間撮影し続けるのは結構大変です。静止画なら途中でカメラをおろして手を休めればいいのですが、動画の場合はそうもいきません。カメラを持つ手を右手から左手に持ち替えたり、両手で支えたりと時間が経つごとに段々と辛くなっていき、持ち替えるたびに動画にブレが生じたりしてしまいます。
三脚は静止画の撮影ならば使わないという選択肢もありますが、動画撮影場合は常に使用しても良いほどです。動画撮影はカメラを固定して定点を撮影するほかに、動く被写体を追ったりカメラを左右にあるいは上下にカメラの向きを変えながら撮影することもあります。静止画撮影用の三脚の場合は上下左右にブレないようにカメラを固定させますが、動画撮影用三脚はカメラの向きを自由に変えられるよう作られており、さらに可動部分は油圧式で滑らかに動くように作られています。
動画撮影用の雲台は、パン棒と呼ばれる操作棒を握って被写体を追ったり被写体をフレームインさせるなど、動画ならではのテクニックが使えるようになっています。なお、三脚使用時は静止画・動画ともに手ブレ補正機能をオフにしておくほうが無難です。特に動画撮影の場合は、カメラを左右に振った後に手ブレ補正機能が働き、ピタッと画面を止めることができない場合もあります。
静止画用と動画用で三脚の仕組みは異なると説明しましたが、それぞれの三脚を用意するのは大変です。ですが、雲台を交換できるタイプならば、静止画用雲台と動画用雲台を付け替えることで静止画/動画いずれの撮影にも対応できます。
ちなみに三脚にはコンパクトな「テーブル三脚」「ミニ三脚」とよばれる製品もあります。そうした製品は自由雲台の付いていることが多く、自由にカメラの向きを調整できます。通常の使い方のほかに、もう一回り大きいサイズの製品ならば、脚の部分を自分の胸に当てるようにしてカメラを身体で支えるような使い方もできます。
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