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第162回 桜花と風景と陰影とマクロの関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2013年03月15日 20時36分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

光と影に注意

 桜全体を撮ろうと思うとき、厄介なのが陰影。

 晴れてるときは特に、日なたの桜と日陰の桜では印象が違いすぎるので恐ろしい。日当たりのいいところに1本だけ咲いている桜ならまったく問題ない。

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 でも都市部の桜だとなかなかそういうわけにはいかず、極端な話、こんなことになるのだ。

photo 国立科学博物館の巨大クジラと桜

 右から光が当たっているのだが、一緒に撮りたかった鯨のしっぽの影が桜に落ちててそこだけ暗い。普通のことなのだが、桜は日なたと日陰では雰囲気が違いすぎるので、そこが目立っちゃうのだ。

 それはぜひ避けるべし。広く撮ろうとすると日陰桜は避けられないので、ちょっと角度を変えてしっぽのあたりを中望遠で狙ってみた。なるべく明るい桜が目立つアングルを探したのである。

photo しっぽのアップと桜

 桜がある風景を撮りたいときは、あらかじめ陽射しの向きを考えておくとなおよい。例えばこの写真。方角的にあと2時間くらい早い時間なら、奥まで陽射しが当たって全体がもっと明るくなってた。

photo 千鳥ヶ淵の桜をちょっと遠くからボートごと狙ってみた

 狙っている風景があるのなら、太陽の方向まで気にしよう。

 日陰の枝を組み合わせることで、特定の花を目立たせることもできるし、日陰の枝が全体を台無しにすることもある。

photo こうすることで特定の花を立たせられるという例
photo 手前に暗い枝がはいったことでそっちが目立ってしまった例

 つまるところ、桜(特にソメイヨシノ)は基本的にけっこう地味な色をしているので光の影響を受けやすいのだ。だから露出のコントロールが重要になる。

 背景が明るくて日陰のになってる花を撮るときはプラスの補正を。

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 日陰の桜で背景が青空なのですごく暗い写真になったけど、あきらめてはだめ。日陰ってことは日光が直接当たってないので陰影がほとんどついてない、つまりコントラストが低いやわらかな写真にできるってことなのだ。

 思い切りプラスの補正である。

photo +2くらいの思い切った補正をかけてやるといい感じになる

 まったく違う桜、というくらい雰囲気が変わった。曇っている時には思い切って、花に陽射しが当たってて背景もほどよく青いときは、かるくプラスの補正を。

photo 青空に桜。陽射しがきれいにあたってたので

 要するに桜はプラスの補正をかけて明るめに撮った方が華やかになるという話。逆に背景が暗いときはマイナスの補正。そうしないと花が真っ白に飛んじゃう。

photo 背景が日陰のお堀で暗かったのでマイナス1の補正を
photo 金王八幡神社の金王桜

 八幡神社の方は神社っぽさを出すために赤い拝殿を背景に入れ、花びらは赤とかぶらないよう暗い背景に合わせて少しマイナス補正をかけて撮ってみた。背景が暗いと花はキリッとした感じになるし明るいとほわっとした感じになる。その辺はもうお好みで。

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