ケンコー・トキナーが販売するトキナーブランドの「AT-X 12-28 PRO DX」は APS-C用のワイドズームレンズだ。テレ側が28ミリまでと長いのが特長で、開放F値がF4固定というのが使いやすい。コレを装着しておけば超ワイドから標準域までカバーできるので心強いだろう。早速、ニコン「D7100」で試してみた。
ニコン「D7100」に装着すると、35ミリ換算の焦点距離は18ミリ〜42ミリ相当となる。狭い室内や広大な風景、ポートレートまでこなせるレンジがうれしい。レンズの外観はお世辞にも高級感があるとは言えず、レトロな雰囲気を感じる。マニュアルフォーカスにするにはフォーカスリングを手前に引く必要があり、純正レンズなどと較べるとやや面倒に感じた。
引きのない狭い場所でこのレンズは重宝する。ワイド端18ミリではグッとメリハリを付けて被写体に寄ると迫力が産まれる。この写真は客車の座席角にフォーカスを合わせて、絞り開放で撮ったものだ。柔らかつ上品で自然なボケがとてもいい印象。
フィールドでの取り回しも良好だ。F2.8クラスの重量級ワイドズームレンズと違い、持ち運びもハンドリングもいい。重量はネイチャーやドキュメンタリーフォトグラファーにはありがたい、530グラム。チョイ絞りで森の木立をシャープにとらえてみた。
クライマックスを迎えた八王子まつりの舞いをワイド端で撮影。山車の上で踊る面の男を内蔵フラッシュで浮かび上がらせた。パースペクティブを生かして、被写体と背景のバランスを狙った。内蔵フラッシュを使用する時はワイド端だと、レンズの影が画面中央下部に落ちるのでフレーミングでそれを避ける必要がある。
ワイド感あふれる一枚。ローアングルからモデルをあおって撮影した。色の乗りが浅い印象もあるが、爽やかな仕上がりとなった。モデルの顔部分、髪の毛の部分の描写はなかなか。枝振りがいい樹を選んでフレームに入れているが、D7100のような視野率100%のカメラだとキッチリと構図を作れるので、このようなワイドレンズでも安心だ。
スラリと美しく長い足をワイド端で強調したカット。顔の部分から足の先までしっかりとしたディテールだ。サラッとした色乗りは清涼感がある。
テレ端でのカット。実にいい描写だ。12ミリ相当からレンズ交換せずにサッとズーミングしてこのような絵を撮れるのはうれしい。
こちらもテレ端。絞り開放でのポートレートだが見事な描写だ。肌と髪の質感、制服のリボンのディテールがいい。ソフトな印象はモデルだけでなく、背景のボケにも存在し日没間際での雰囲気をうまく出している。
思い切りよくけり上げた左足。躍動感ある一瞬をワイド端で撮影。ポートレート撮影でもパースペクティブを意識して、ワイドレンズを使ってみよう。
背景をアンダーに落として日中シンクロで印象的に撮影した。このような場合、フードを外してレンズの影がモデルに落ちないように注意する必要がある。撮影場所が制限される場合にこのようなズームレンズは大いに活躍する。
(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭としているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)
(モデル:石川彩夏 オスカープロモーション)
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