オリンパス「OLYMPUS OM-D E-M1」(以下 E-M1)は同社最上位モデルであり、フラッグシップ機である。OM-D E-M5の後継機ではなくその上のモデルで、価格もちょっと高くなった。このカメラには、ハイエンド機としてだけではなく、もうひとつの側面がある。
かつて主力だったフォーサーズ(4/3型撮像素子を使った一眼レフの規格)のミラーレス版として登場したのが「マイクロフォーサーズ」で、オリンパスはミラーレスのマイクロフォーサーズ、一眼レフのフォーサーズと2つの製品ラインを持っていた。しかし、プロ向けハイエンドフォーサーズ機「E-5」の後継機は発売されず、E-M1はフォーサーズユーザーに「そろそろマイクロフォーサーズに来て下さい」と宣言する重たい役割も担わされたのだ。
ハイエンドなミラーレス機を望んでいた人と、一眼レフを使っていた人の両方をにらんだ製品なのである。大変だ。で、触ってみた感触をひとことでいうと、「趣味のOM-D」がE-M5で、「実用のOM-D」がE-M1。
E-M5はOM風のデザインを重視したためか、使い勝手を犠牲にした面があったけど、その点、E-M1はグリップもしっかりしたし、ボタン類のレイアウトも見直されたしで非常に使いやすくしっかり撮れるカメラになった。
ともあれE-M5を踏まえた上位モデルなので、そこからどう進化したか、どのくらい高性能になったかを中心に見ていく。
E-M1はフラッグシップ機である。M1と聞くと古いカメラ好きはオリンパスの古い一眼レフ「M-1」を思い出すはず。名前がすぐ「OM-1」に変わったので知らない人も多いだろうが、たまたま持っていたので並べて撮ってみた。40年前のカメラである。
もはや懐かしいを通り過ぎてるんだけど、40年でここまで来たのだ。このころ、OMといえば他より軽くてコンパクトでカッコよかったものである。
昔話はさておき、E-M1とE-M5である。
画素数はE-M1が有効1628万画素、E-M5が有効1605万画素と大差ないが、E-M1は像面位相差センサーを埋め込んでいる上にローパスレス仕様となっている。像面位相差AFはミラーレス一眼のトレンドのひとつで、撮像素子上にびっしり並んだ画素の中に、位相差AF用のセンサーを埋め込んだもの。その分画素は減るけれども、その数はわずかで画質への影響はないという。
E-M1の場合、一眼レフシステムだったEシリーズを受け継ぐという意味合いもあるので、「マウントアダプターを介してフォーサーズ用レンズを装着したとき」と、もうひとつ、コンティニアスAFモードにしたとき、自動的に像面位相差AFに切り替わる。マイクロフォーサーズ用レンズでシングルAFにした場合は従来通り、コントラスト検出AFを使うという仕組み。
確かにコンティニアスAF時の動体追従性はよくなり、すっと合うようになった。これはありがたい。ローパスレスが有効かどうかはけっこう微妙なところ。E-M5と比べてそれほど差は感じない。
シャッターユニットはおそらくE-P5と同等のもので、シャッタースピードは上限が1/4000秒から1/8000秒に上がり、より高速なシャッターを切れるようになっている。
ISO感度もあらたにISO LOW(ISO100相当)が用意され、感度を1段下げての利用(晴天下で絞り開放で撮りたいときなどにいい)もできるが、ISO LOWにするとダイナミックレンジが少し狭くなってハイライト部がとびやすくなる。このあたりはE-P5と同じだ。
高感度時の特性は上がっている。もともとE-M5も高感度には強く、ISO感度をあげればあげるほど差が出るので上限のISO25600で撮り比べてみた。
明らかに色ノイズが減っているのが分かるかと思う。
さらに倍率色収差を補正したり、絞り値に応じてシャープネス処理を変えたりと細かい処理が変わっている。ボディ内手ブレ補正は優秀な5軸手ブレ補正。E-P5で採用された、自動流し撮り対応に加え、低速シャッター時の補正効果が上がっているという。
E-M5の発売から1年半ちょっとたち、いろいろと進化しているのだ。
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