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第169回 スポーツ写真とアングル、シャッターチャンスの関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2013年10月10日 10時53分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

クロスカントリーを撮る

 お次はクロスカントリー。馬事公苑は馬用の走路も苑内に用意されており、広い苑内に障害あり水濠(すいごう)ありと、いろいろ用意されたルートを走ってタイムを競う。

 基本的に背景が青空のように明るければプラス目の、森のように暗ければマイナス目の補正をかけると失敗が少ないのだが、広けていて陽光を一杯に受ける走路もあれば、木々に挟まれた走路もあり、日向だったり日陰だったりするので露出が難しい。それに白い馬か黒い馬かで露出も変わってくるので、ある程度カメラさん任せにいたしました。

 何しろほんの一瞬で日向と日陰が切り替わるのである。

 こんな感じ。

photophoto 1枚目と2枚目の間は2秒。森の中を駆け抜けるときは日向と日陰がめまぐるしく切り替わるのだ

 そこは下準備でカバー。コース表を見ながら撮影場所に当たりをつけ、競技の邪魔にならなくて見通しがよくて明暗差があまり出ない場所を選んでそこで待機、という感じで撮ることに。

 露出はシャッタースピード優先にして、ピタッと止めて撮りたいときは速めに。に、流したいときは遅めにと意識しつつ調整する。

 まずは森を駆け抜ける馬。まっすぐ走るより、少し身体を倒してコーナーを駆け抜ける姿を斜めから撮るのがカッコいいことを発見。

photo コーナーに入っていく人馬の姿。いい感じに砂が舞い上がった。背景が暗いので少しマイナス目で

 背景が違うと雰囲気がちょっと変わる。背景が暗い方がダイナミックに見える。

photo 背景が明るいとさわやかな感じ

 どれもしゃがんで低い位置から撮っている。その方が迫力が出るのだ。撮るときの高さも大事。

 クロスカントリーの醍醐味はやはり水濠。ちょっとした段差の先に水濠があり、そこを馬が駆け抜ける時の水しぶきがフォトジェニックなのだ。

 気にせず飛び込む馬もいればためらう馬もいて、なかなか撮るタイミングが難しいのだけれども挑戦する。

 水濠を撮ると決めたらカメラは縦位置にして、最初はやや引き気味で、どのくらいの焦点距離だと馬がいい感じにおさまるかをチェック。迫力があり水しぶきがはっきり見えるようギリギリまでアップで撮りたい。

 どのくらいの焦点距離にセットして待っていたらいいかは試し撮りなどして最初に確認。

 そしてここだと決めたら、水しぶきがほどよく止まるようシャッタースピードを1/1000〜1/2000秒にセットしてひたすら待機。遠くから馬の姿が見えたらファインダーをのぞいて、タイミングを計り連写だ。

photo 失敗するとこうなっちゃう。足下が切れてしまって失敗

 うまくいくと足下までしっかり撮れて水しぶきが派手に。

photo 1/1000秒で撮影。足下の水しぶきがいい感じ

 狙い目は水濠に飛び込んだときより、そこから出てくるとき。馬の前に出ようという姿勢と足下の水しぶきがいい感じに出る。

photo ぐっとアップで迫ってみた。全身が入っていなくてもいいのだ

 さらに水しぶきに目がいくよう、馬にフォーカスしてみるのも面白い。

photo あえて騎手をフレームアウトさせて、馬……特に足下の水しぶきが目立つように撮ってみた。シャッタースピードは1/2500秒に上げてある。

 人馬全体を必ず入れなきゃいけないわけじゃなく、撮りたいポイントがあればそこが主役として目立つよう撮ること。全体が入らなくても人が切れていてもいいのだ。

 さてそんな感じで様々な障害を乗り越えたら、最後は陽射しがよくあたる走路の最終コーナーを抜け、最後の障害を飛んだら、あとは直線である。

 こちらもひたすら連写。

 馬が駆ける瞬間の写真といっても、足の位置でスピード感は全然違う。だから連写して一番カッコいい瞬間を選ぶ。

photo 足がついた瞬間。足が伸びきっててスピード感はあまりない
photo 足が四本とも宙に浮いててスピード感がある

 もうひとつ注意したいのは構図。ちょっと進行方向を空けた方がスピード感が出るとよくいわれる。確かに駆けているというより、ゴールを駆け抜けたあとって感じになっちゃう。後ろにGマークはあるけど、この競技でのゴールはもうちょっと先だ。

photo カメラの動きが遅れちゃって、馬が構図の左側に来てしまった

 スピード感のある写真を撮るときは被写体をの前をあけてそっちへ向かうぞ、って感じを出し、足が宙に浮いてて、しかも、ちょっとシャッタースピードを落として流し撮りになってるとなおよい。

photo 1/320秒だけど馬が速いので流し撮り的な感じになる。

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