お次はクロスカントリー。馬事公苑は馬用の走路も苑内に用意されており、広い苑内に障害あり水濠(すいごう)ありと、いろいろ用意されたルートを走ってタイムを競う。
基本的に背景が青空のように明るければプラス目の、森のように暗ければマイナス目の補正をかけると失敗が少ないのだが、広けていて陽光を一杯に受ける走路もあれば、木々に挟まれた走路もあり、日向だったり日陰だったりするので露出が難しい。それに白い馬か黒い馬かで露出も変わってくるので、ある程度カメラさん任せにいたしました。
何しろほんの一瞬で日向と日陰が切り替わるのである。
こんな感じ。
そこは下準備でカバー。コース表を見ながら撮影場所に当たりをつけ、競技の邪魔にならなくて見通しがよくて明暗差があまり出ない場所を選んでそこで待機、という感じで撮ることに。
露出はシャッタースピード優先にして、ピタッと止めて撮りたいときは速めに。に、流したいときは遅めにと意識しつつ調整する。
まずは森を駆け抜ける馬。まっすぐ走るより、少し身体を倒してコーナーを駆け抜ける姿を斜めから撮るのがカッコいいことを発見。
背景が違うと雰囲気がちょっと変わる。背景が暗い方がダイナミックに見える。
どれもしゃがんで低い位置から撮っている。その方が迫力が出るのだ。撮るときの高さも大事。
クロスカントリーの醍醐味はやはり水濠。ちょっとした段差の先に水濠があり、そこを馬が駆け抜ける時の水しぶきがフォトジェニックなのだ。
気にせず飛び込む馬もいればためらう馬もいて、なかなか撮るタイミングが難しいのだけれども挑戦する。
水濠を撮ると決めたらカメラは縦位置にして、最初はやや引き気味で、どのくらいの焦点距離だと馬がいい感じにおさまるかをチェック。迫力があり水しぶきがはっきり見えるようギリギリまでアップで撮りたい。
どのくらいの焦点距離にセットして待っていたらいいかは試し撮りなどして最初に確認。
そしてここだと決めたら、水しぶきがほどよく止まるようシャッタースピードを1/1000〜1/2000秒にセットしてひたすら待機。遠くから馬の姿が見えたらファインダーをのぞいて、タイミングを計り連写だ。
うまくいくと足下までしっかり撮れて水しぶきが派手に。
狙い目は水濠に飛び込んだときより、そこから出てくるとき。馬の前に出ようという姿勢と足下の水しぶきがいい感じに出る。
さらに水しぶきに目がいくよう、馬にフォーカスしてみるのも面白い。
人馬全体を必ず入れなきゃいけないわけじゃなく、撮りたいポイントがあればそこが主役として目立つよう撮ること。全体が入らなくても人が切れていてもいいのだ。
さてそんな感じで様々な障害を乗り越えたら、最後は陽射しがよくあたる走路の最終コーナーを抜け、最後の障害を飛んだら、あとは直線である。
こちらもひたすら連写。
馬が駆ける瞬間の写真といっても、足の位置でスピード感は全然違う。だから連写して一番カッコいい瞬間を選ぶ。
もうひとつ注意したいのは構図。ちょっと進行方向を空けた方がスピード感が出るとよくいわれる。確かに駆けているというより、ゴールを駆け抜けたあとって感じになっちゃう。後ろにGマークはあるけど、この競技でのゴールはもうちょっと先だ。
スピード感のある写真を撮るときは被写体をの前をあけてそっちへ向かうぞ、って感じを出し、足が宙に浮いてて、しかも、ちょっとシャッタースピードを落として流し撮りになってるとなおよい。
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