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激戦区参入 シンプルデザイン高級コンパクト「FUJIFILM XQ1」を検証する(2/3 ページ)

» 2013年11月15日 19時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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クリックのない滑らかなコントロールリング

 では使い勝手の話。操作に際しては軽快感があり、ボディ自体が軽量なこともあって、両つりストラップで首から提げて気軽にスナップを撮るにはすごくいい感じだ。

photo 上面も非常にフラットでシンプル。電源、モードダイヤル、シャッターとズームレバーのみだ

 撮影モードはP/A/S/Mの各モードに加え、SR+とAUTOとフィルター、アドバンスト(Adv.)、シーンモード(SP)と用意されており、X20と基本的には同じ。FUJIFILM XF1にあったEXRモードはない。オート系の撮影モードが通常のAUTO、シーン自動認識オートのSR+、さらにプログラムAEと3つあるのは多い気がする。SR+とプログラムAEの2つでいいんじゃないのかとちょっと思う。

 操作系でのポイントはレンズ周りのコントロールリングと、XF1から採用されたE-Fnボタン。コントロールリングはクリック感がなく無段階で回転するタイプで、MF時に使うといい。MFモードにしてすーっと回し、ピーキング機能と組み合わせると気持ちよくピントを合わせられる。

photo レンズ部のコントロールリング。クリック感はなく、無段階で動くタイプ

 コントロールリングの機能はもちろんカスタマイズ可能。メニューから変更してもいいし、E-Fnを使えばその場で変えることもできる。デフォルトでは各モードに応じて最適な内容(絞りやプログラムシフト、シーンポジションなど)に切り替わる。

 E-Fnはボタンを押すと十字キー+再生と録画ボタンの計6つに仮装ボタンが割り当てられる。例えば、何もしない状態では十字キーの左は「マクロ」だが、E-Fnを押すとISO感度になるので、ISO感度を変えたいときには、E-Fn→左キー→背面のリングで調節できる。この時にフロント部のリングを回せば、コントロールリングに割り当てる機能を変更できる。慣れればなかなか快適な機能だ。

photophoto 右下の「E-Fn」を押すとこの画面になる。ここで十字キーの4つと、上2つのボタンがファンクションキーとして使える(写真=左)、E-Fnボタンの設定画面。好きな機能を割り当て可能(写真=右)

 撮影機能はX10やX20といったシリーズ製品を継承している。Adv.モードには360度パノラマ、多重露出、連写重ね撮り、ぼかしコントロールといった複数回撮影して合成する系の機能が、Filter(アドバンストフィルター)にはトイカメラやミニチュア、ソフトフォーカスといったデジタルフィルター系が、SP(シーンポジション)には各種シーンモードが用意されている。

photo アドバンストモードのぐるっとパノラマ360で撮影した360度パノラマ
photo アドバンストフィルター「ソフトフォーカスモード」で撮影した竹林
photo シーンポジションの「三脚夜景」で撮影した夜景。この撮影モードだとスローシャッターで撮ってくれる
photo アドバンストフィルターのミニチュアモードで撮影した東京駅前。狙い通りミニチュアっぽくなってる

 「ぼかしコントロール」は使いどころが難しい。被写体との距離や被写体によって失敗することがあるからだ。成功例をひとつ。

photophoto 左が通常撮影、右がぼかしコントロール

 そのほかには、Wi-Fiを使ってその場にいる(スマホを持ってる)友だちに簡単に写真を渡せる機能や、microUSB端子を搭載してUSB充電が可能になったことが着目点として挙げられる。こういう常用系コンデジだと、microUSBケーブルを使ってUSB用ACアダプタやモバイルバッテリーから簡単に充電できるのは非常に便利。

 そんな感じで、フロント部にリング、背面にホイールを備え、細かなコントロールをしながら、でも気楽に撮れるコンパクトといった感のあるXQ1。凝った撮影をしたいならX20の方がレンズも明るいし、しっかりグリップできるのでお勧めだが、気軽にどこででもオートで撮れ、時には凝った撮影もできるというスタンダードなカメラを探しているなら、XQ1はいい選択だ。

photophoto マニュアルフォーカス時はフォーカスポイントの辺りが拡大され、ピーキングをオンにすればこのようにエッジが強調されるのでピントの山をつかみやすい(写真=左)、本体にはmicroUSB端子を装備。充電もこちらから行う。これは外出時や旅行時にありがたい

 ギミックが目立ったXF1より普通にはなったけど、こっちの方がシンプルでミニマムで魅力的。同クラスにライバルは多いけれども、デザインのシンプルさを重視したいならこれだなと思う。

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