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OS Xの「写真」は「iPhoto」からどう変わった? 最適な移行法を考える(4/4 ページ)

» 2015年05月01日 11時30分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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iCloudフォトライブラリでiPhoneの写真環境は完成した

 iCloudフォトライブラリがもたらすのは、iPhone(やその他iOS機器)とMac間での「完全な同期」だ。これは実に素晴らしい。

 今までのフォトストリームははなはだ不完全なものだった。フォトストリームは動画はサポートしてくれないし、連写したときはその中の1枚しか転送してくれないし(全部転送するというオプションもあった)、iOSの写真編集機能にも対応していなかった。

 しかも同期ではなく単なる転送だった。例えば、フォトストリームを使って転送したあとに、iPhone側でその写真を編集しても、フォトストリームで受け取った側には反映されないのだ。

 今回は、クラウド上のiCloudフォトライブラリをマスターとして完全に写真が同期され、iOS上でもMac上でも同じように写真を扱えるようになったのだ。

 これはひとつの完成形といえる。

 これを使えばiPhoneのストレージを気にせず写真や動画を撮りまくれる。ストレージが足りなくなったらiOS側がどんどん古い写真を消してくれるからだ。消されても、オリジナルはクラウド上に残ってるから問題ない。

 まあ実際のところ、iCloud上でのトラブルで写真が消えちゃう可能性はゼロではないので、Mac側でバックアップを取っておくなど、リスク管理は必要だし、システムとしては素晴らしいけどiCloudストレージ側の事情(有料だし。上限あるし)で悩まされたりしそうだし、実際額面通りにしっかり動作するかはこれからみていかなきゃいけないが、やっとここまできたかと感慨深い。

追加のライブラリを作成するときは

 今までiPhotoやApertureで複数のライブラリを使い分けてる人が「写真」アプリに移行する際は、それぞれライブラリを移行しなきゃいけない。2つめ以降のライブラリの移行は、ドラッグ&ドロップか、コンテキストメニューから行うのが簡単だ。

 旧ライブラリをドックにある「写真」アプリアイコンにドラッグ&ドロップすれば、自動的に新しいライブラリに変換してくれる。あるいはコンテキストメニュー(右クリックかcontrol+クリック)で写真アプリを指定してやってもよい。もしくは、optionを押しながら起動して、ライブラリを選んでもよい。こうすれば複数のライブラリを使い分けてた人もそのまま移行できる。

 ただ、iCloudフォトライブラリーでiPhoneと同期できるのは、システムフォトライブラリに指定した1つだけなので、注意すること。それ以外はiPhoneとの同期はできないのだ。

 個人的には「まずiPhoneで撮った写真が入ってるライブラリーをシステムフォトライブラリーとして『写真』アプリ移行して使ってみて、よさげなら……」がお勧めだ。

写真アプリへの移行、どうするべき?

 では最後に結論を。

  • 1.iPhoneで撮った写真をMacでも使いたい人→ぜひ導入すべし

 写真アプリの機能をもうちょっとあげてほしい(せめてiPhotoでできたことは全部できてほしい)ところではあるけど、総合的に素晴らしいでき。これは快適。iPhoneで撮った写真のバックアップになる上、iPhoneの写真をMac側で使いたい人にも最高の環境ができるし、iPhoneのストレージが残り少なくても対応してくれる。わたしは今128Gバイト版の「iPhone 6 Plus」を使ってるけど、次回は64Gバイトでいいかも、と思い始めております。

 iPhotoより機能面で落ちてるところもあるが、まあそのうちアップデートでしっかりしてくるでしょう。

  • 2.iPhoneの写真とデジカメの写真をiPhotoでまとめて管理してた人→移行しても悪くないけどライブラリサイズに注意

 基本的にiPhoto的だし、iPhoneと同じような感覚で使えるし、編集機能だって個人的にはiPhotoより使いやすくなってると思う。5つ星のレーティングがないなど機能面で足りないところはあるけど損はなさげ。

 ただし、iCloudフォトライブラリも使うなら「ライブラリのサイズ」に注意すること。ライブラリサイズがでかかったら、iCloudストレージプランのアップグレードが必要になるかもしれない。

  • 3.iPhotoで複数のライブラリを使い分けていたヘビーユーザー→iPhoneの写真だけを移行してみたらどうでしょう?

 iPhotoって複数のライブラリを使い分けられるのが何気なく便利だった。写真アプリもそれは受け継いでる。だから、1つ1つ移行する手間はあるけど、移行しちゃうのも悪くはない。部分的に移行するという手もある。

 写真アプリインストール後も、iPhotoは消されず残っていて、写真アプリとiPhotoは同時に起動できるので、「このライブラリは写真アプリ用」「このライブラリはiPhoto用」としておけば、2つを同時に開けて便利かもしれない。

  • 4.Apertureで複数のライブラリを使い分けてたもっとヘビーなユーザー→iPhoneで撮った写真だけを写真アプリに移行するのがよいでしょう

 とりあえず、写真アプリはApertureの代わりにはならない。編集面でも写真の管理面でもだ。

 よって、Apertureをそのまま使い続けるか、徐々にアドビのLightroomに移行するか考えた方がいい。あるいは、Apertureを使い続けながら写真アプリがアップデートして高機能になるのを待つか。

 写真アプリは現在バージョン1.0であり、ベーシックな機能だけを先に用意してきたという印象が拭えない。アップルの場合、最初にベーシックなものを出してあとからガンガン機能アップしていくことがよくあるから。

 わたしはこの「4」に該当するわけだが、とりあえず、Apetureライブラリから「iPhoneで撮った写真だけを集めた」ライブラリを作り、古いiPhoneのライブラリ(当時はiPhotoで作ってた)と合体させて「iPhone専用ライブラリ」を作成し、それを写真アプリに移行させた。

 この「iPhoneで撮った写真と、iPhoneからもアクセスしたい写真だけを集めたライブラリを作ってそれを移行してみる」という手が個人的には一番お勧め。おいしいところだけをとりあえず味わってみようってことだ。

 ついでにいえば、写真アプリとiPhotoとApertureは同時に起動できるので、写真アプリでiPhoneの写真ライブラリを、Apertureでデジカメ用の写真ライブラリを同時に開けてそれなりに便利なので当面はこの体勢で様子をみるつもりにしております。

iPhoneから写真へ 写真とAperture(左)とiPhoto(右)を同時に起動できるので、使い分けたら当面は便利かも。

 それにしても、写真アプリって呼称はいくらなんでも一般名詞すぎてなんだかなあと思うわけである。シンプルだけど、こうして原稿に書くとき、一般名詞の写真なのかアプリ名なのか混乱しないようにしなきゃいけないじゃないか。よい呼称はないですかね。

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