2015年もそろそろ終わりに近づいた。今年も様々な新製品が登場して話題になったが、その中でひときわ心に残ったものを取り上げてみたい。
デジタルカメラに関しては、2015年に高画素化がグッと進んだのが興味深かった。5000万画素オーバーのキヤノン 「EOS 5Ds」「EOS 5Ds R」や、4000万画素オーバーのソニー「α7R II」、Cyber-shot「RX1R II」などが登場して話題になった。それまで高解像度機の代表格として君臨していたニコンの「D810」やソニーの「α7R」などはすっかり普通の機種になってしまった印象を受けたほどだ。実際に使用して扱いやすいのはこれらの機種なのだが、新機種の中ではα7R IIが素晴らしかった。
α7R IIの魅力は、フルサイズながらミラーレス機であり、コンパクトなプラットフォームに高画素なセンサーを搭載したところ。しかも高感度にもなかなか強く、像面位相差オートフォーカスによりピントも素早く正確に合う。さらにはボディ内手ブレ補正機能や4K動画もあるときている。弱点を探そうと思っても見つからないくらいの完成度で、中古市場でも人気が高い。
写りもスペックに恥じないもので、あらゆる被写体を緻密に写し撮ることが可能だった。フルサイズのフォーマットに対応した「FEレンズ」も徐々に増えつつあるので、人気は衰えそうもない。
もう一方で、新しいテクノロジーを搭載して気を吐いたのがパナソニックである。新機種の「LUMIX DMC-GX8」に「フォーカスセレクト」機能をファームウェアアップデートで提供したのが興味深かった(「LUMIX DMC-G7」「LUMIX DMC-FZ300」にも採用。来春にはGH4にも提供予定)。これはすでにおなじみとなった「4Kフォト」と空間認識AF技術を使ったもので、写真を撮影した後で、写真の中からピントを合わせたい場所をタッチすると、自在にピント位置を変更して保存できるというもの。これはとても便利だし、普段から使える機能なので多くの人に試してもらいたいものである。
この他には、圧倒的なレンズ性能と独自のセンサーで注目を浴びたシグマの「dp0 Quattro」と「dp3 Quattro」、上位機種キラーとなった富士フイルムの「FUJIFILM X-T10」が印象に残った。
2015年はレンズの当たり年だったのではないだろうか。レンズメーカーだけでなくカメラメーカーからも意欲的な製品が続々と登場した。筆頭はキヤノンの「EF11-24mm F4L USM」だろう。フルサイズ用超ワイドズームとして最も広い画角を誇っていたシグマの「12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM」をようやく越えた製品となった。キヤノンのレンズ技術の粋を結集して開発した製品だけあって、画質も開放から画面隅々までとてもシャープで素晴らしいものであった。それ故、高い価格となったがこれは仕方がないだろう。
またニコンからも「AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR」という超望遠ズームレンズが出た。焦点距離からイメージすると高価格のレンズに感じるが、レンズメーカーの同クラスレンズと十分競い合える価格設定に驚いた。
シグマはアートラインの高性能レンズを矢継ぎ早にリリースしたのも印象深い。「24mm F1.4 DG HSM」「24-35mm F2 DG HSM」「20mm F1.4 DG HSM」のワイド域と、コンテンポラリーラインとスポーツラインの「150-600mm F5-6.3 DG OS HSM」と、高画素化するカメラに呼応するように製品ラインアップの拡充を図った。
カールツァイスの「Batis 1.8/85」「Batis 2/25」も面白かった。オートフォーカスのフルサイズEマウント対応レンズだが、有機ELを距離目盛に採用、独特の鏡筒デザインと柔らかな描写が魅力的であった。
また富士フイルムの「XF90mm F2 R LM WR」もヌケがよく使っていて気持ちがいいレンズだった。開放からキレ味よく、色再現もボケ味も優秀で、WRシリーズなので防じん防滴耐低温性能を持つというものだ。今年は単焦点レンズもズームレンズも豊作だったのではないだろうか。
2016年も明けてすぐに米国でCES、2月には国内でもCP+と、大きな展示会が続く。カメラ、レンズ、スマートカメラなど、新製品が続々とその近辺で登場しそうだ。楽しみにしたい。
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