DD-1――ソニー：電子書籍端末ショーケース

往年の名機から最新のタブレットまで――古今東西の電子書籍端末をショーケース風に紹介する「電子書籍端末ショーケース」。ここでは、ソニーが1990年代に国内販売していた電子ブックプレーヤー「DATA Discman」シリーズの第1号機「DD-1」を取り上げる。

[山口真弘，ITmedia]

製品概要

　ソニーが1990年代に国内販売していた電子ブックプレーヤー「DATA Discman」シリーズの第1号機で、世界初の電子書籍専用端末とされるモデル。

　クラムシェル型のボディを採用し、8センチCD-ROMで供給される電子ブックを読み込んで利用する。名称こそ電子ブックプレーヤーだが、実質的には電子辞書として扱われることが多く、電子ブックのラインアップもほとんどが辞書関連だった。

　後世の製品に比べてボディこそ大柄だが、基本的なギミックはこの時点ですでに完成されており、メニューや検索画面のレイアウトにも大きな差異はない。フォーマットはEBにのみ対応し、後の拡張規格であるEBG、EBXA、S-EBXAなどには非対応。「現代国語辞典」「ニューセンチュリー英和辞典」「新クラウン英和辞典」「コンサイス外来語辞典」「ワープロ漢字辞典」の計5つの辞書を収録した電子ブックが添付される。

　充電式バッテリーのほか乾電池、ACアダプタ駆動にも対応しており、さらにはカーバッテリーコードもオプションで用意されるなど、据え置きから持ち歩いての利用まで幅広い使い方が想定されている。

スペックで見る「DD-1」

メーカー	ソニー
国内発売時期	1990年7月
発売時価格	5万8000円
専用／汎用	専用
OS	独自
OSバージョン	-
サイズ	105.2（幅）×133（奥行き）×40.8（高さ）ミリ
重量	約550グラム（充電式バッテリーパック含まず）
解像度	不明
ディスプレイ	モノクロ液晶
カラー／白黒	モノクロ2階調
画面サイズ	2.8インチ
通信方式	なし
Bluetooth	なし
内蔵ストレージ	なし
メモリカードスロット	なし
バッテリー持続時間（メーカー公称値）	3時間（電子ブック検索時）
タッチ操作	非対応
対応フォーマット	EB
コネクタ	なし
電子書籍ストア	なし（8センチCD-ROMにて供給）
その他	なし

最終更新日：2012年7月19日

写真で見る「DD-1」

のちのデータディスクマンシリーズのほとんどに共通するクラムシェル型のボディを採用する（写真＝左）／座学を前提としたボディのため、持って利用する用途には向かない（写真＝中央）／本体のフットプリントはCD-Rとほぼ同等だが、かなりの厚みがある（写真＝右）

正面。本体サイズに比べて画面のサイズはかなり小さい。再生や停止、送る／戻る、音量調節など音楽再生関連のボタンは本体正面にあり、画面を閉じた状態でも8センチCDウォークマンとして利用できる（写真＝左）／左側面。電源ジャック、コントラスト調節ダイヤル、イヤフォンジャックを備える（写真＝中央）／右側面。外部出力端子を備え、テレビへの出力が行える（写真＝右）

上蓋を閉じた状態。「Electronic Book Player」の印字がある（写真＝左）／底面。リセットボタン以外にとくに端子類はない（写真＝中央）／背面。電池ボックスなどを接続するためのガイドが露出している。ACアダプタ駆動時にはこの状態のまま使用する（写真＝右）

キーボードはQWERTY配列。上段にはF1〜F5のファンクションキーを備えており、こちらを用いてメニューなどを選択する（写真＝左）／操作パネル部を持ち上げて電子ブックを挿入することで読み込まれる。本製品添付の電子ブック以外にも市販の電子ブックタイトルが利用可能。またキャディにセットすることで音楽用の8センチCDも再生可能（写真＝中央）／電池ボックスを用いることで、単3電池×6本での駆動も可能。このほか充電式バッテリーパックの利用にも対応するが、駆動時間は3時間と短い（写真＝右）

本製品には「現代国語辞典」「ニューセンチュリー英和辞典」「新クラウン英和辞典」「コンサイス外来語辞典」「ワープロ漢字辞典」の計5つの辞書を収録した電子ブックが添付される。これはメニュー画面。なお以下3枚の画像は機材の関係で外部出力したものを掲載している（画面＝左）／前方一致検索や後方一致検索のほか、辞書によっては条件検索などが行える。のちの電子辞書専用機のように複数辞書を同時検索する機能はない（画面＝中央）／EBフォーマットの電子ブックのほか、音楽用の8センチCDも再生可能（画面＝右）