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» 2004年06月17日 21時07分 公開

BEA eWorld開幕、開発プロジェクトは「分単位」の時代へ?

「BEA eWorld JAPAN 2004」が開幕した。来日したBEAの共同創設者兼CEOのチュアング氏は、ビジネスの変化は待ってくれないとし、「BEAがこれからの開発プロジェクトを数分単位に変えてみせよう」と約束する。世界を変えるイノベーションこそ、彼らの狙いだ。

[浅井英二,ITmedia]

 6月17日、都内のホテルで「BEA eWorld JAPAN 2004」が開幕した。オープニングで1000人のデベロッパーやパートナーらを前に、日本BEAのロバート・スチーブンソン社長は、「失われた10年のあと、日本企業は再生のためにどの業界であれ、いちからシステムの見直しと再構築に取り組んでいるが、(基盤は)“砂上の楼閣”にならないよう注意しなければならない」とし、きちんとした基盤の選択を促す。

 「ライバルのSOA(サービス指向アーキテクチャ)はコンセプトに過ぎないが、われわれは既に事例まである」と話すのは、今年もキーノートのために来日したアルフレッド・チュアングCEO。

10年前、BEA Systemsの創設に参画し、今もCEOとして同社を率いるチュアング氏

 昨年、このカンファレンスで世界に先駆けて主力製品の最新バージョン「BEA WebLogic Platform 8.1」の出荷開始を明らかにした彼は、今回「Deploy SOA. Now.」を掲げ、すぐに配備できる基盤が既に整っていることを明確に打ち出す。

 WebLogic Platform 8.1のダウンロードは50万回に達しており、1500社が新しいプラットフォームを導入し、迅速かつ柔軟なシステム構築を可能とするSOAのメリットを享受し始めているという。

 「ITは、経営にとってのバリアではなく、バリューになる。SOAで柔軟なシステムが構築できれば、変化をチャンスに変えることができるからだ」(チュアング氏)

 とはいえ、SOAへの取り組みは始まったばかり。将来のITがあるべき姿、つまりITのビジョンを提示することが不可欠だ。5月下旬、カリフォルニア州サンフランシスコで行われた「BEA eWorld 2004 San Francisco」で「Liquid Computing」構想をぶち上げたのもそのためだ。

基盤やアプリに適応能力を組み込む

 チュアング氏は、将来のITのあるべき姿を「Liquid」(液体)になぞらえる。液体は、それ自体を柔軟に変え、さまざまな環境の変化に対応できる性質を持つ。Liquid Computingの構成要素として、彼は「企業レベルの互換性」「積極的な適応性」、そして「画期的な生産性」を挙げるが、それらに共通しているのは、変化に対応できる機能をプラットフォームやアプリケーションに埋め込んでおこうという考え方だ。同社のチーフアーキテクトを務めるアダム・ボスワース氏が1年半前に書いた論文が下敷きになっているという。

 20年前、われわれはデータベースを抽象化してアプリケーションを保護するため、SQLを盛んに使い始めた。10年ほど前からは、ハードウェアの違いから保護すべく、Javaを活用している。そして、次の10年はXMLとWebサービスだろう。システム同士は必要に応じて疎結合され、サービスを中心に企業が動き始める。

 チュアング氏は、サンフランシスコのeWorldと同様、「互換性を実現することは、インテグレーションよりも安く、柔軟で、ITの価値をより具現化できる」とし、場当たり的なポイントツーポイントのインテグレーションに引導を渡す。この日のキーノートでは、同社が開発を進めている「QuickSilver」もデモされた。これは、メッセージングとWebサービス管理のためのバス(ガートナーはEnterprise Service Busと呼ぶ)であり、互換性実現への回答でもある。

 チュアング氏はまた、開発、本番稼動、分析、改良とくるくる回るアプリケーションのライフサイクルにも再考の余地があるとする。再びデベロッパーの手に戻さなければ、現在のエンタープライズクラスのアプリケーションではほんの少しの変更もままならないからだ。

 好き嫌いは別として、Excelで仕事をする場合、ビジネスの変化に伴い、ユーザーが関数の引数を変えるのは何も難しいことではない。デベロッパーや表を作成したパワーユーザーの手を煩わすこともない。いわゆるセルフサービス型でビジネスの変化に対応できるわけだ。BEAの開発ツールであるWebLogic Workshopの狙いは、そこにあると言っていい。BEAは、Workshopのアプリケーションフレームワーク(言い換えれば、開発モデル)をApacheコミュニティーに寄贈し、オープンソースとして一気に普及を狙う。

 「かつて何年もかかっていた開発プロジェクトが数カ月単位になったかもしれないが、ビジネスの変化はそれを待ってくれるだろうか? BEAは数カ月を数分に変えてみせよう」(チュアング氏)

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