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» 2004年06月17日 23時31分 公開

SOA実現へのテクノロジー、中核を担うQuickSilverまでディッゼンCTOが具体化

Javaにおけるデプロイ環境のほとんどは、独自のミドルウェア上で密接に展開されてきた。開発環境BEA Workshopのアプリケーションフレームワーク公開で、Javaを新たな世代へと導く。

[木田佳克,ITmedia]

 「DEPLOY SOA. NOW.」。6月17日(木)、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで「BEA eWorld JAPAN 2004」が開幕し、会場のところどころに掲げられたコピーだ(会期は18日、金曜日まで)。アルフレッド・チュアングCEOに続き、基調講演で登壇した米BEA Systems、スコット・ディッゼンCTOからは、これまでのJavaを取り巻く環境を振り返り、SOA(サービス指向アーキテクチャ)へとつながる進化の過程が語られた。関連するテクノロジーには、先の「BEA eWorld 2004 San Francisco」と同じく、「QuickSilver」「Beehive」が国内初披露となってBEA Workshopに関わるデモを交えた(関連記事)。

具体性のあるテクノロジーベースでSOA実現を語る米BEA Systems、スコット・ディッゼンCTO

 講演最初に触れられたのは、ベンダー間をまたぐためのアプリケーション統合についてだ。ここでのアプリケーション統合とは、主に開発、運用アプリの相互利用を指す。

 これまでのJavaの転機には、J2EEによるプレゼンテーションロジックとビジネスロジックの明確化があり、当初は理想的な統合モデルが見えていた。しかし、「努力は継続されたものの、想像以上に難しかった。何年にも渡りアプリケーション間で行われてきた統合実現には、各ベンダーのアプリケーションポリシーだけでなく、顧客からの要件を取り込むほど相互運用が難しくなる傾向にあった」とディッゼンCTO。そのような中でも、現在最も高レベルの統合プログラムとして象徴なのがSQL(データベース)である、という。

 一方、「今までを振り返ってみると、テクノロジー自体は理想的に実装されてきた。データベース、UI(ユーザーインタフェース)、VM(バーチャルマシン)、そしてXMLやその他サポートサービスすべてがだ」とディッゼンCTO。

XML、Webサービスにより独自プロトコルがエッジへと入り込んでいく

 総称WS-*(スター)は、これまでは独自仕様のミドルウェア上のテクノロジーとして展開されており、約20年間の蓄積がある技術群だ。SOAの狙いは、これらすべてをWebへ落とし込むことにあり、Webこそが根源となる。

 さらに、コミュニケーションモデルの統一には、分散型コンピューティングとして、同期型のDCE、DCOM、CORBAなどがあり好まれた時期もあるが、非同期にもTuxedoなどがある。「実は、これまでのアプローチを否定するのではなく、両方必要なのだと考えている」とディッゼンCTO。また、「リクエストレスポンスはもちろんクエリーなど、情報を直ちに利用するという面では好ましいが、ほとんどのビジネストランザクションでは非同期テクノロジーが信頼性となり、インターネットでも有効だと考えている」と語る。

 現在のところ、多くのアプリケーションにはXMLが実装されておらず、どのように実現していくかがSOAへの課題の一歩だ。この課題についても具体例が挙げられた。「Webコンテナがあるが、アダプタ、コンテナは既存のアプリに取り込む必要がある。例えば、MKシリーズのプロトコルがメインフレームとやり取りしたり、SAP R/3プロトコルとERP連動といった展開になるだろう」とディッゼンCTO。

 これ以降の展開は、基本的にSOAのために整備し包括されていく必要があるが、造語SOAにも含まれるアーキテクチャを忘れてはならないという。コンテナ実装の実現によりアプリケーションには比較的負荷が加わる。そのため、「単にデータモデルやUI実装だけではならない、コントラクトが重要だ」とディッゼンCTO。さらに、「より高いレベルではXML Beans v2が補完してくれるかもしれない。それがSOAのビジョンでもある」と、次期バージョンBEA WebLogic Platform 9.0のキーワードにも触れた(関連記事)。

WS-*テクノロジーによってSOAを実現

 SOAへの取り組みにより、BEAは今後いっそうさまざまなベンダー、団体と関わることが必然となる。

SOAのゴール(新たな始点かもしれない)を示すディッゼンCTO(緑色が現在枯れつつあるもの、黄色がSOAで基となるもの)。さらにSOAの上に成り立つテクノロジーとして、WS-Eventing、WS-Transactions、WS-Coordinationなどを挙げる

 Webサービス自体のテクノロジーについてディッゼンCTOは、「現在は、30以上のテクノロジーによってWebサービスというものが構成されている。しかし、テクノロジーによっては成熟度が異なる」と語り、さらには「WSDL 1.1やSOAP 1.1などによって現在ではWebLogic、WebSphere、.NETなどで基本的な相互運用が可能だ。今後は、BPEL/BPELJ、WS-Policy、WS-Reliable Messaging、WS-Security、WS-Addressingなどが、半年から1年程度で成熟していくだろう。この段階であればSOAが実現可能になる」と言及する。また、これまでの特定ベンダー内実装であれば、サービス間での信頼性が確保されるというが、グローバルな領域でのセキュリティ面を配慮した見解と思われ、この面でもWS-Security実装は急務かもしれない。

Beehiveのインパクト、Apache Software Foundationの相乗で加速か

 「BEAは、強力なツールを持っているが、さらなる革新のためにオープンソースを武器とする」とディッゼンCTO。5月21日に既報の、J2EE上層に位置するWorkshopアプリケーションフレームワークのオープンソース「Project Beehive」は、特定ベンダーにターゲットされないことをフレームワークベースで実現するモデル。

日本BEAシステムズ、デベロッパーマーケティングの佐々木氏からは、カスタマデータベースをメンテするBeehiveのデモが行われた。Tomcatへデプロイする例

 Beehiveは、IBMやSunが取り組むIDEのオープンソース化とは異なるアプローチとしても注目するプロジェクトだ。

QuickSilverのデモ。SOA中核ツール、BEAの場合には動的なコンフィグレーションが特徴とされ、管理者画面からサービスのルーティングや処理内容を自由に操作できる

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