CPFRが追求する小売プロセスITが変革する小売の姿(2/2 ページ)

» 2004年10月25日 12時19分 公開
[舟本秀男,舟本流通研究室]
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 新プロセスモデルは従来のリニアな9ステップモデルから、4つの基本機能による循環型モデルに変わった。それらの機能は、戦略および計画、需要/供給マネジメント、実行、分析で、以前に比べると、通常の業務フローとより密接な関連性を持たせるようになっている。

CPFRタスク

 CPFRの新モデルの4つの活動にはそれぞれ2つのタスクがあり、CPFRを実施しようとする企業のガイドラインになっている。合計8つのCPFRタスクは、従来の9ステップに代わるもの。戦略/計画活動には、コラボレーティブ・アレンジメント(コラボレーション関係の構築)とジョイント・ビジネスプラン(共同ビジネス計画の作成)がある。

 コラボレーティブ・アレンジメントは、企業間取引関係の目標と、コラボレーション関係の範囲を明確化し、役割、責任の所在、チェックポイント、問題点の上位マネジメントへの遡及などの手順を取り決める。

 一方、ジョイント・ビジネスプランは、計画段階で需要と供給に影響を及ぼすイベント(例えば、販売促進策、在庫ポリシーの変更、店舗新設/閉鎖、新商品の投入)を明確化する。

 需要/供給マネジメントには、販売予測と、発注計画/予測のタスクがある。販売予測はPOSレベルの消費者需要予測だ。一方、発注計画/予測は、販売予測、在庫のポジショニング、発注から店舗入荷までのリードタイムなどの分析項目を基に、今後の商品発注と納入に対する要求事項を決定するものとなっている。

 これらを実行するための活動には、発注書の作成とオーダー・フルフィルメント(発注商品の納入活動)のタスクが含まれる。発注書の作成は、予測を確定需要にするもの、また、オーダー・フルフィルメント・タスクには、消費者が商品を購入するまでの生産、出荷、配送、在庫の各プロセスが含まれる。

 分析には例外管理と成果評価分析がある。

 例外管理のタスクは当初の設定から外れた事態が発生しているかどうかについて、計画値と実績値を常にモニターする。また、成果評価分析のタスクは、ビジネスの目標数値が達成されているか、想定外のトレンドはないか、代替戦略を練る必要があるかを分析し、主要な評価規準値と比較しながら対応策を考える。

標準化された企業間コラボレーション・モデル

 このように見てくると、CPFRの主要機能やタスクは、流通業が当然のように実施していなければならないものである。しかし、個々の企業内で実施している業務を複数の取引先と協働で実施するためには、標準化されたビジネス・プロセスと手順が必要となる。

 CPFRは、グローバル規模でその標準化プロセスモデルを具現化したものだ。我が国においても、CPFRを採用しての企業間コラボレーション構築は緊急課題の1つであろう。


著者:舟本秀男氏(舟本流通研究室代表)

日本NCRにおける33年間の業務経験と、5年間の米国勤務経験を基盤に、流通業を革新するための最新の取り組みを研究することで知られる。平成11年に舟本流通研究室設立、米国ムーンウォッチメディア社と業務提携し『リテール・システムズ・アラート』日本語版を発行。日本経済新聞が主催するRetail Technology Summitの企画も手がける。

 経済産業省委託、2002年「SCM推進のための商慣行改善調査委員会」委員。総務省、2002年「国際競争力回復のための企業IT化戦略研究会」委員、ほか。著書『流通再生戦略(同友館)』『図解CPFRがわかる本(日本能率協会マネジメントセンター)』など。

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