しかし、IBMの思惑通り、Notesユーザー企業のすべてがアップグレードを選択するわけではない。Notes 4.1Jが日本でリリースされてから10年が過ぎ、次世代の情報共有システムを考えたとき、単にNotes/Dominoを再評価するだけでなく、ほとんどのユーザーはMicrosoft Exchangeやサイボウズのガルーンも比較検討するからだ。
「会員企業では担当者が世代交代してしまうほど、Notesが長年利用されてきた。導入の目的は何だったのか? 目的は達成されたか? 活用の広がりは? 拡張性やWebへの対応など問題はないか? 逆にNotesなしで業務効率改善は可能だったか? 10年を区切りとし、見直す好機だ」と鈴木氏は話す。
NotesとNotesユーザーをよく知る鈴木氏は、普及・浸透の背景に「エンドユーザーコンピューティングの推進」があったと指摘する。そのためのツールとして導入され、結果的に多くの導入企業でエンドユーザーコンピューティングが進んだ。
「個人がパワフルなPCとNotesを活用して業務の効率化のために工夫した。かつてはそうしたゆとりがあった。しかし、10年後の今、時代がそれを許さなくなってしまった」と鈴木氏。
1月中旬、カリフォルニア州オーランドで行われたLotusphere 2005カンファレンスでは、約10年ぶりに招かれた「Notesの父」、レイ・オジー氏(現在はGroove Networksの創設者兼CEO)がパネルディスカッションに登場、テンプレートをエンドユーザーがカスタマイズできるNotes本来の強みを振り返っている。しかし、今のユーザー企業にそこまでの余裕があるかは疑問だし、ほかのパネラーからは企業を取り巻く各種の規制強化から統制を強めている現状も指摘された。
次世代のリッチクライアント環境としてIBMが売り込むIBM Workplace Client Technologyが、そうした時代のギャップを埋める最適な回答かどうかは分らないが、鈴木氏は「新しい時代のエンドユーザーコンピューティングの在り方を探る必要はある」と指摘する。Lotus Notes/Domino Day 2005では、そうしたテーマでパネルディスカッションも企画されているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.